[ブリュッセル 8日 ロイター] – 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が7日のセミナーで加盟27カ国に対し、長期契約や供給保証に影響を与えずにガス価格の上限を設定することは不可能だと伝えた。外交筋2人がロイターに明かした。
EU首脳は先月、「天然ガス取引に関する一時的な動的価格コリドー」と「発電向けの天然ガスの価格上限」の双方について作業を進めるよう欧州委に要請することで合意。ただ、加盟国間のガス価格上限を巡る見解の相違を受け、上限設定が長期契約に影響しないこと、ガス消費量の増加につながらないこと、生産者による供給先の変更を引き起こさないこと、などの条件が追加された。
こうした中、外交筋の1人は「欧州委は現在、これらの条件を満たす価格上限の設定は不可能だとの見解を示している」と指摘。EU加盟27カ国の代表団がブリュッセルで11日に協議する予定とした。
もう1人の外交筋によると、欧州委は代わりに自主的な「市場修正メカニズム」を提案したが、価格高騰を即座に抑制できるような上限を要求する国にとっては不十分だったという。
両外交筋によると、上限を求める15カ国の中には、欧州委が確実な上限案を提示しない限り、10月の首脳会議で合意された共同購入や新たな基準価格の策定など他の内容を阻止する意向を示している国もあるという。