[ロンドン/キーウ(キエフ) 9日 ロイター] – ロシアのショイグ国防相は9日、軍に対しウクライナ南部のヘルソン市から撤退し、同州のドニエプル川東岸で防衛線を設けるよう命令した。開始から9カ月が経過しているウクライナ侵攻の転換点になる可能性がある。

ウクライナでの軍事作戦を指揮するスロビキン総司令官はテレビ放映されたコメントで、ヘルソン市への補給はもはや不可能になったとし、「現況を総合的に検証した結果、ドニエプル川の東岸に防衛線を設けるよう提案した」と表明。「極めて困難な決定だと理解しているが、「ロシア軍兵士の命と部隊の戦闘能力を守ることができる」と述べた。

ショイグ国防相はスロビキン総司令官に対し「ロシア軍兵士の命は常に優先されなくてはならない。民間人への脅威も考慮しなければならない」と述べ、提案に同意すると表明。軍の撤退を進めるよう命令した。

ウクライナ軍の攻撃が迫る中、ロシアはヘルソンで住民の避難を進めていた。

ウクライナ大統領府のポドリャク顧問はロイターに対する声明で、「ロシア軍部隊はヘルソン市内に残留しており、追加要員も地域に投入されている」とし、同市からのロシア軍撤退を語るのは尚早と指摘。「ヘルソンにウクライナ国旗が掲げられるまで、ロシア軍の撤退を語る意味はない」と述べた。