Philip Lagerkranser

  • バンクマンフリード氏にバハマ警察当局が聴取-関係者
  • 10日時点で流動資産9億ドルに対し負債90億ドル

米連邦破産法11条に基づく会社更生手続きを申請した暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXの顧客は、預けた資産の大部分を回収することは望み薄のようだ。

  FTXの主要な暗号資産の価値は破産申請以来急減しており、ブロックチェーン分析会社エリプティックによれば、暗号資産の不正引き出しは推定4億7700万ドル(約660億円)に上ったとみられる。

  FTXトレーディング・インターナショナルは破産申請前日の10日時点で負債が約90億ドルに対し、流動資産は9億ドルに過ぎなかった。貸借対照表の限定的バージョンを見た関係者が明らかにした。貸借対照表には「内部で適切に分類されていない隠された」法定通貨口座が80億ドルのマイナス状態にあることや、ユーザーが先週50億ドル引き出したことにも言及があった。

  バハマ警察はバハマ証券委員会と協力し、FTXの破綻に関連した刑法違反行為の有無を捜査していると明らかにした。共同創業者で、最高経営責任者(CEO)職を辞任したサム・バンクマンフリード氏が12日にバハマの警察および規制当局の聴取を受けたことが、事情に詳しい関係者1人の話で分かった。

  サマーズ元米財務長官はFTXのメルトダウンについて、「報道に基づけば不正の臭いが漂う」とし、「リーマン危機に例える人は多い。どちらかと言えばエンロンに近いだろう」と、ブルームバーグテレビジョンの番組で述べた。

  米証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)はFTXによる顧客資金の不適切な取り扱いがあったかどうか調査している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  FTXを巡る最新の主な動きは以下の通り。

FTX開発のセラム・プロジェクトが苦境に

  コインゲッコーの価格データによれば、FTXが開発した流動性インフラハブのセラムが発行するトークンは13日だけで23%強下落した。FTXは10日時点で同トークンを22億ドル余り保有していたと、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は投資家資料を引用して伝えた。

ガロア・キャピタルのエクスポージャーは4000万ドル

  仮想通貨ヘッジファンドのガロア・キャピタルは、FTXに対するエクスポージャーは4000万-4500万ドルだとブルームバーグ・ニュースに直接メッセージで明らかにした

権限ない引き出しで当局と協力

  FTXの幹部の1人は、暗号資産ウォレットの一部から権限のない引き出しがあり、法執行当局と共に調査していることを明らかにした。「法執行および関連の規制当局」と協力・協調していると同社は説明した。

ソラナが下げ拡大、ビットコインとイーサに底堅さ

  3日続落した仮想通貨のソラナは13日に下げ幅を拡大。一時は14%下落した。時価総額で仮想通貨トップと2位のビットコインおよびイーサは24時間で1%強の下落にとどまっている。

規制の必要性示す-イエレン財務長官

  イエレン米財務長官はFTXのメルトダウンに関し、暗号資産セクター内の「脆弱(ぜいじゃく)性」を示しており、その市場には「非常に注意深い規制」が必要であることを浮き彫りにしたと話した。現時点で暗号資産は金融システム全般への脅威ではないとも語った。

米破産法適用申請、CEO辞任

  FTXは、FTX.COMや米国内事業FTX US、トレーディング会社アラメダ・リサーチなど130余りのグループ会社について、米連邦破産法11条に基づく会社更生手続きを申請した。裁判所に保全を求めた資産と負債は、アラメダだけでもそれぞれ100億ドルを超える。

  FTXの共同創業者のサム・バンクマンフリード氏(30)はCEO職を辞任。新CEOには企業再生・再編を専門とするジョン・J・レイ氏が就任する。

FTX、米連邦破産法11条の適用申請-バンクマンフリード氏辞任

原題:FTX Latest: Dim Picture for Customers; Criminal Probe Possible
FTX Latest: Police Interview Bankman-Fried; Mystery Outflows(抜粋)