19日、バンコクでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の閉幕に当たり、記者会見するタイのプラユット首相
19日、バンコクでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の閉幕に当たり、記者会見するタイのプラユット首相

 【バンコク時事】タイで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は最終日の19日、首脳宣言を採択した。ロシアのウクライナ侵攻を巡る対立から採択できない恐れもあったが、議長国タイの政府筋は「20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で機運が高まる幸運があった」と明かした。

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 タイ政府は17日に開かれたAPEC閣僚会議の共同声明、18~19日の首脳会議の首脳宣言が「採択されない可能性が高い」とみて、代わりとなる議長声明をまとめる準備を進めた。

 直前の15~16日にインドネシアで開かれたG20サミットでも、首脳宣言の採択は危ぶまれていた。しかし、「ほとんどのメンバーがウクライナでの戦争を強く非難した」という文言に「他の見解や異なる評価もあった」とロシアの立場を加えることで、全会一致に持ち込んだ。

 共同声明は閣僚会議終了直後には発表できなかったが、タイ政府の事情に詳しい政治アナリストは17日、取材に「G20方式の採択を目指している」と説明。結局、共同声明は18日、首脳宣言は首脳会議の閉幕と同時に発表された。ウクライナ情勢に関するくだりは、G20の首脳宣言と同じ表現を用いた。

 APEC首脳会議で議長を務めたタイのプラユット首相は閉幕後の記者会見で「会議は全参加国・地域にとって成功だった」と強調した。