Craig Torres
- 「さまざまな」当局者が金利ピークは従来予想を上回るとの見解示す
- FOMCは政策効果が表れるまでの時間差や累積的引き締めなど協議
米連邦公開市場委員会(FOMC)が今月1、2日に開いた会合では、利上げのペースを落とすことが近く適切になると当局者らは判断した。12月会合での利上げ幅を0.5ポイントに減速する方向に傾いていることが示唆される。
23日公表された議事要旨では、「参加者の大部分は、引き上げペースの減速が近く適切となる可能性が高いと判断した」と記された。
同時に、「さまざまな」当局者が「委員会の目標達成に必要なフェデラルファンド(FF)金利の最終的な水準は、従来の見通しを幾分か上回る」と結論付けた。
パウエル議長、ピーク金利は従来想定から上昇-利上げペース鈍化も (3)
スティーフル・ニコラウスのチーフエコノミスト、リンジー・ピエグザ氏は、利上げの「ペースを落とす必要性の受け入れが広がっている」とし、金融当局者の間では0.5ポイントへの減速に顕著な傾きが見られると述べた。
ブルームバーグ・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、アナ・ウォン氏は「FOMC議事要旨では、委員会とスタッフ双方のレベルで意外なほど強いハト派寄りの傾向が明らかになった」とし、「委員会の中で利上げペース減速に対する幅広い見解の一致が見られる。そうした見解はブレイナード連邦準備制度理事会(FRB)副議長が擁護してきたとわれわれはみている。一方で金利がどこまで上昇すべきかについては、ほとんど確信が見られない」と分析した。
当局者らは金融政策が経済とインフレに影響を及ぼす上での遅効性、そして累積的な引き締めがどの程度の時間を経て支出と雇用に影響を与え始めるかについて協議。幾人かの当局者は、利上げペース減速によりFOMCは目標に向けた進展状況を判断できるようになるとの考えを示した。
FOMC声明:今後の引き締めペース、累積効果や経済情勢などを考慮
議事要旨では「金融政策行動が経済活動とインフレに影響を及ぼす時間差と度合いが不透明なことも、そうした評価が重要とされる根拠に含まれる」と指摘した。
今後1年間の景気後退確率は約50%とスタッフ警告
このほか、FRBのスタッフエコノミストが金融当局者に対し、個人消費支出の鈍化や世界経済を巡るリスク、追加利上げ見通しなどを背景に、米経済が今後1年間にリセッション(景気後退)に陥る可能性が50%程度に高まったとの予測を示していたことも示された。
このような警告は3月の米利上げ開始以来初めて。
具体的には「実質民間国内支出の低調な伸びや世界的な展望悪化、金融状況の引き締まりは実体経済活動の見通しにとっていずれも顕著な下降リスクと考えられるのに加え、インフレ率の持続的な鈍化には従来想定よりも大幅な金融状況の引き締まりが必要となる可能性がもう一つの下降リスクと認識された」としている。
その上で、「このためスタッフとしては、実体経済活動のベースライン見通しへのリスクは下方に傾いていると引き続き判断するとともに、米経済が今後1年間のいずれかの時期にリセッション入りする可能性について、ベースラインと同程度とみていた」と説明した。
FOMC会合で政策金利について最終的な決定を下すのはFRB正副議長を含む理事や地区連銀総裁だが、FRBスタッフはこうしたFOMC参加者のために準備した経済状況や見通しの説明を通じて重要な役割を果たし、影響力を持つ。
一方、ブルームバーグが今月、エコノミストを対象に行った調査では、今後1年間のリセッション確率は中央値で65%と推計され、ブルームバーグ・エコノミクスのモデルは100%の確率としていた。
パウエルFRB議長は2日のFOMC会合後の記者会見で、「リセッション入りがあるかどうかや、実際にそうなった場合、どの程度深刻となりそうかは誰も分からない」との見解を示していた。
英国債市場の混乱も議論
当局者は英国債市場の混乱についても議論した。米国債市場は引き続き「秩序だった状態」にあると判断したものの、特に金融引き締めの局面にあって、米市場の機能に何らかの問題が生じれば、「金融政策のスタンスに影響を与えない」方法で、当局として対処する準備を整えるべきだとの指摘が数人の当局者からあった。
原題:Most Fed Officials Seek to Slow Pace of Interest-Rate Hikes Soon
Fed Staff Warn Chance of Recession in Next Year Is Now Near 50%
Key Takeaways From Minutes of Fed’s November Meeting on Rates(抜粋)