[台北 25日 ロイター] – 米アップルのサプライヤーである台湾・鴻海精密工業の中国河南省鄭州工場から従業員2万人以上が離職したと、鴻海関係者が25日、ロイターに明らかにした。このうち、ほとんどがまだ生産ラインで働いていない新入社員という。
これにより11月末までに工場のフル稼働を再開する同社の計画が不透明になると関係者は指摘した。
人気スマートフォン「iPhone14」の主要生産拠点である同工場の労働者による抗議活動が長引いており、書き入れ時の年末商戦にアップルが十分に製品を供給できるかについて不安が生じている。
鴻海は10月に新型コロナウイルス対策として厳しい制限の導入を余儀なくされた。多くの従業員を隔離した結果、一部が工場から離れる事態となった。11月からは給与を上乗せするなどして従業員の大量採用を進めてきた。
ただ、その後に従業員はコロナ検査で陽性だった同僚と同じ宿舎を使用することに不満を訴えるとともに、休業補償給付について事実と異なる説明を受けたと主張した。
鴻海は24日、退職希望者に1万元(1396ドル)を支払うことを提案。新入社員を採用する際に給与関連の「技術的なミス」があったとして謝罪した。これを受けて従業員の抗議活動が起き、警備員との衝突もあったという。
別の関係者も新入社員の一部が退職したと明らかにしたが、具体的な人数には言及しなかった。新入社員は生産ラインで働き始める前にトレーニングを受ける必要があったため、現時点で生産に影響はないという。
「コロナ対策で企業ができることはあまりない。しばらく前からこの問題は続いており、誰もが直面している」と語った。