[9日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は9日、ロシアは将来的にウクライナに関する何らかの合意を行う必要があるとしながらも、ウクライナ東部紛争の和平への道筋を示した「ミンスク合意」で裏切られたと感じていると述べた。

ミンスク合意は、2014─15年にウクライナ東部で起きた同国軍と親ロシア派武装勢力との紛争の和平への道筋を示す合意で、独仏が仲介してベラルーシの首都ミンスクでまとめられた。

プーチン氏はこれについて、同合意を仲介した独仏はロシアを裏切り、現在はウクライナに武器を供給していると非難。「ミンクス合意の枠組みの中で合意できると考えていたが、信頼の問題がある」とし、西側諸国に対する「信頼はほぼゼロに近い」とした。

ドイツのメルケル前首相は7日付の独誌ツァイトに掲載されたインタビューで、ミンスク合意はウクライナが防衛力を強化する「時間を確保する」ものだったと発言。プーチン氏は9日、訪問先のキルギスで行った記者会見で、メルケル氏の発言に「失望した」と語った上で、「誰もミンクス合意を履行するつもりがないことが分かった。要はウクライナに兵器を供給し、敵対行為に備えるだけだった」とした。

さらに、メルケル氏の発言を受け「どのように交渉するのか、何について交渉するのか、誰と交渉することが可能なのか、保証はどこにあるのかなどの疑問が生じる」とし、「最終的に合意に至らなければならないのは同じだ。何度も伝えているが、われわれには合意する用意があり、オープンだ。だが、われわれが誰を相手にしているのか考えさせられる」とした。

8日にはロシアで服役中だった米女子プロバスケットボールリーグ(WNBA)のブリトニー・グライナー選手と米国で服役中だったロシアの武器密輸業者ビクトル・ボウト受刑者との囚人交換が行われたが、プーチン氏はこれに関し、ロシアはこのような囚人交換をさらに行うことに前向きであり、今回の囚人交換に合意した米ロの情報機関の間では接触が続いていると明かした。