Akayla Gardner、Jess Menton、Edward Bolingbroke
- 13日午前8時半の指標発表直前、株価指数先物と国債先物が急上昇
- 「疑念を抱かせる。適切な調査実施に値する」-米法律事務所の幹部
答えは「ノーだ」。米ホワイトハウスのジャンピエール報道官は、13日の定例会見が終わりに近づく頃に飛び出した記者からの質問に即座に反論した。11月の米消費者物価指数(CPI)が同日午前8時半に発表される前に、ホワイトハウス内の何者かが内容を漏らした可能性はないと同報道官は回答。「小さな相場の動き」に過ぎないこの件が騒がれ過ぎているとの見解を示した。
しかし、CPIの数字が米労働省のウェブサイトに掲載される前のごく短い時間に、相場は急激に上昇。発表されたインフレ率は市場予想より低く、相場の動きは決して小さいものではなかった。
S&P500種株価指数の先物は突如1%余り上昇。米国債先物の取引が急増し、10年債利回りは約4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。1営業日を通してもここまで変動しない日もあり、これほどの短時間にしては大きな動きだ。
長年マーケットに携わっている関係者の間からは、規制当局による綿密な調査が必要だとの声が上がっている。情報リークがたとえ可能性ある幾つかの理由の一つに過ぎないとしても、なぜ複数のトレーダーがCPI発表の直前に突然買いを入れ始めたのかという指摘だ。
米法律事務所パシュマン・スタイン・ウォルダー・ヘイデンの証券規制執行責任者、ジェローム・セルバース氏は「相場動向を変えるようなニュースが出る前に」大規模な取引活動が行われていたことは「疑念を抱かせる。通常、規制当局が適切な調査を実施するのに値する」と指摘。11月CPIが「特にインフレ鈍化を示す内容で、市場予想と乖離(かいり)していたことを踏まえると、これは普通の状況ではない」と述べた。
そうした調査が行われるか、また行われるとしたらいつ実施されるかは、まだ分からない。CPI発表元の労働省労働統計局は、データが予定時刻より早く発表されたとは認識していないとしている。ただ、連邦政府の指針に従って一部の政府当局者は発表前にデータを入手していると、同局のパーキンソン報道官は電子メールで説明した。
CPI発表前の60秒間に、米10年債先物3月限は1万3000枚余り取引された。通常は実質的に取引が行われない時間帯だ。
14日に発表されたCMEのデータは、米国債先物の全年限で未決済建玉が急増したことを示している。これは13日のCPI発表前、およびその時間帯に見られた買いがショートカバーではなく、新たに構築されたロングポジションによるものであったことを示唆する。
原題:In 60 Seconds Before CPI Hit, Heavy Trading Drove Mystery Rally(抜粋)