[ワシントン 21日 ロイター] – トランプ前米大統領が大統領任期の最後の年となる2020年、自身の不動産などの事業で損失を計上し、所得税を納めていなかったことが、米下院歳入委員会が20日遅くに公表した納税記録から明らかになった。

公開された納税の内容は、24年の米大統領選への出馬を表明し、成功を収めた実業家というイメージを長年培ってきたトランプ大統領にとり痛手となる可能性がある。

大統領在任中の4年間、トランプ氏とメラニア夫人は計300万ドルの税金を支払ったものの、トランプ氏の事業からの収入を控除や損失で相殺することで支払う所得税を減らすことができたという。下院歳入委は、こうした控除の正当性に疑問を呈している。

トランプ氏一族が経営するトランプ・オーガニゼーションの広報は、納税記録の公開は政治的な動機と批判。「このような不当なことがトランプ前大統領に起こるのであれば、理由なく全ての米国人にも起こるだろう」と述べた。

歳入委は20日、トランプ氏の大統領選と大統領任期中の期間を含む15─21年の納税記録を機密情報を除き公開することを決定。米大統領選の有力候補は納税記録を自主的に公表することが長年の通例となっていたが、トランプ氏は個人資産の全容やトランプ・オーガニゼーションの活動が公知となるのを避けるため、納税記録の公開を拒んできた。