[東京 26日 ロイター] – 岸田文雄首相は26日、政府・日銀の政策協定(アコード)見直しについて言及することは現時点で「時期尚早」で、新たな日銀総裁を決めてからの話だと述べた。都内で行った講演の質疑で語った。

岸田首相は、黒田東彦総裁の任期は来年4月8日までであり、新たな日銀総裁については「来年4月の段階の状況に最もふさわしい方を任命する、この基本に尽きる」と述べた。今後の経済動向も見極めながら判断をしなければならないと強調した。

日銀との連携については「4月の段階に最もふさわしい日銀総裁を選んだ上で、その総裁とともに、その状況をしっかり判断して物事を考えていく」と語った。

岸田首相は11月に黒田総裁と会談した際、政府と日銀が緊密に連携しつつ経済・物価情勢に応じて機動的な政策運営を行い、構造的な賃上げを伴う経済成長と物価安定目標の持続的・安定的な実現を図っていくことで一致した、と説明した。

日銀が今月の金融政策決定会合で長期金利の許容変動幅を拡大した措置もこうした政策運営の一環であり、「今の金融緩和の修正や出口といったものではなく、金融緩和の効果を円滑に普及させ、持続性を高めるための運用の見直しだ」との認識を示した。

<防衛力強化のための財源、増税に理解求める>

岸田首相は講演で、防衛力強化のための安定財源について、将来世代に先送りするのではなく「今を生きる我々が将来世代への責任として対応すべきものと考えた」と改めて説明した。

財源は法人税などの増税で賄う方針を決めたが、中小企業への配慮を強化して所得換算で約2400万円の控除を設けたことで、結果として対象は全法人の6%程度になると述べた。防衛力強化は円滑な経済活動に貢献する面も多いとし、国民や経済界に理解を求めた。

(杉山健太郎)