- パウエル氏が気候問題対応で説明、世銀が世界経済見通しを下方修正
- ダイモン氏の金利予想、コインベース人員削減、WHOがマスク推奨
2019年に死去した作家の橋本治さんは、読書しながらセーターを編むことができる編み物の達人としても知られていました。よそ見をするたびに編み目を間違え、糸をほどかなくてはならない初心者とは大違いです。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は10日、本来の責務に専念するという意味で”Stick to your knitting(編み物に専念せよ)”という慣用表現を用いました。金融政策の運営は何かをしながらの片手間ではできないということなのかもしれません。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
線引き
パウエルFRB議長はストックホルムで開かれたフォーラムで、中央銀行の独立性について「米金融当局は気候に関連した金融リスクを巡り、限定的ではあるが重要な責務を負っている」としつつ、「議会による明確な法制化がなければ、より環境に優しい経済の促進や他の気候関連目標を達成するためにわれわれが金融政策や監督手段を用いるのは不適切だ」と説明。「われわれは現在、そして将来も『気候政策当局』ではない」とパウエル氏は言明した。講演原稿には経済や金融政策の見通しについて直接の言及はなかった。
今すぐ行動を
世界銀行は2023年の世界成長率を1.7%と予想し、昨年6月時点の見通しからほぼ半減させた。予想通りなら2009、10の両年の縮小に次ぎ過去30年ほどで3番目の低成長となる。24年の成長率見通しも引き下げ、インフレ高止まりや金利上昇などを主要な理由に挙げた。ロシアのウクライナ侵攻の影響と投資減少も指摘した。世界経済見通し(GEP)は「成長減速と金融環境のタイト化、重い負債が投資を弱め、企業のデフォルト(債務不履行)を引き起こす可能性が高い」と指摘し、「世界的なリセッションと債務返済に窮するリスクを緩和するため世界が緊急に行動する必要がある」と論じた。
6%説
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、米金利が現在の想定を上回る水準まで引き上げられる必要があるかもしれないと述べた。ただ、自身は昨年の利上げの効果を見極めるため引き締め中断を望むと表明した。現在の予想が正しく、政策金利が5%程度まで引き上げられる確率は50%で、6%まで引き上げなければならない確率も50%あると、ダイモン氏が10日放映されたFOXビジネスとのインタビューで語った。
20%削減
米国最大の暗号資産(仮想通貨)交換業者コインベース・グローバルは、従業員の約20%に相当する950人程度を削減する。仮想通貨相場の低迷で同社は再び人員カットに踏み切る。共同創業者のブライアン・アームストロングCEOは、業界全体の不振を乗り切るために必要な措置だったと説明した。昨年6月に従業員の18%に相当する1200人程度の削減を発表、同年11月にはさらに60人を削減した。同社は今後、複数の事業プロジェクトを中止する。
基本に戻る
中国と米国で新型コロナウイルス感染者が急増する中、世界保健機関(WHO)のクルーゲ欧州地域事務局長は、長距離フライトの乗客にはマスクの着用を勧めるべきだとの見解を示した。「懸念すべき変異株(VOC)による脅威はいつでも、どんな場所でも発生する恐れがある」と述べた。クルーゲ氏は欧州各国に監視を強化するよう要請。中国に対しても情報を提供する必要があると指摘した。
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