【ワシントン=大内清】バイデン米大統領が副大統領在任当時の機密文書が同氏の個人事務所などで見つかった問題で、ガーランド司法長官は12日、政権から独立して捜査を行う特別検察官に元連邦地方検事のロバート・ハー氏を任命したと発表した。共和党のトランプ前大統領による機密文書の持ち出し問題でも昨年11月に特別検察官が任命されており、現職と前任の大統領が並行して捜査を受ける異例の事態となった。
機密文書の持ち出しでトランプ氏を批判してきたバイデン氏が似たような問題で捜査の対象になったことで、同氏と政権への打撃となるのは必至だ。下院多数派の共和党は、バイデン氏が近く再選出馬を表明するとみられる来年の大統領選も視野に、議会での追及を強めていく構えだ。
特別検察官の任命に先立ち、ホワイトハウスの法律顧問は同日、東部デラウェア州ウィルミントンにあるバイデン氏宅の一室やガレージから新たに数件の機密文書が見つかったと発表した。首都ワシントンにあったバイデン氏の個人事務所で昨年11月に10件の機密文書が見つかったのを受け、同氏の弁護士らが自宅などを捜索したところ見つかった。文書の詳細は不明。
バイデン氏は12日、記者団に「私は機密文書(の取り扱い)を重要なものと考えている」と述べ、司法省などによる調査に全面的に協力してきたと強調した。ジャンピエール大統領報道官は同日の記者会見で、バイデン氏は文書が自宅にあったことを「知らなかった」と語った。
特別検察官に就いたハー氏は、2018~21年にトランプ氏の任命で東部メリーランド州の連邦地方検事を務めた。証人の召喚や起訴の判断などで広範な権限が与えられる。
一方、トランプ氏は同日、自身の交流サイト(SNS)への投稿で、「私に関連する特別検察官の捜査をすべてやめさせろ」と訴えた。トランプ氏に近い共和党のジョーダン下院議員はFOXニュースに対し、この問題でトランプ氏が連邦捜査局(FBI)の家宅捜索を受けたと指摘し、バイデン氏が強制捜査を受けないのは「二重基準だ」と主張した。