[東京 19日 ロイター] – 政府が16日開いた経済財政諮問会議では、有識者メンバーの福田慎一東大教授が「財政と金融はかなり異常な状態が長く続いてきた」と指摘、「時間をかけて少しずつ変えていくことが望ましいが、市場がそれを許してくれるのかという問題は注意する必要がある」と話していたことが19日公表された議事要旨で分かった。
議事要旨によると、清滝信宏プリンストン大学教授は「過去10年間にデフレを止めて2%前後のインフレを達成したのは、日銀と政府の功績で、これを維持することは重要」と述べた。一方で、持続的な成長を達成する手段は景気対策ではないとし、「1%以下の金利でなければ採算が取れないような投資をいくらしても経済は成長しない」とも指摘した。
仲田泰祐東京大学大学院経済学研究科・公共政策大学院准教授は金融政策について、過去10年間は景気回復局面でも非伝統的政策が継続されたと指摘。今後インフレ率が持続的に目標値を達成できない可能性もあり、その状況において、過去10年を継続すべきか、継続しないならどのような考え方に移行すべきかを考えることが重要だと語った。
諮問会議では、インフレへの対処など中長期の財政・金融政策運営を議論するため8人の経済学者を招いた特別セッションが16日から始まった。急激な円安と物価上昇により実質賃金は昨年11月まで8カ月連続で前年比で下落しており、アベノミクスの円安推進を含めた財政・金融政策の点検などを行っていく。