【ストックホルム・ロイター時事】スウェーデンの首都ストックホルムで21日、トルコ大使館近くで行われたデモの参加者が、イスラム教の聖典コーランを燃やす騒ぎがあった。トルコ政府は「全く受け入れられない」と反発。スウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)加盟に向けてトルコの協力を求める中、新たな火種となりつつある。
スウェーデン、NATO加盟に新たな障害 クルド人活動にトルコ猛抗議―亡命者引き渡し巡り
トルコ政府は、同国が「テロリスト」と見なす少数民族クルド人武装組織メンバーへの対応でスウェーデン政府が明確な姿勢を示すことが、NATO加盟に同意する条件だと主張している。ストックホルムでは同日、クルド人を支持しNATO加盟に反対する左翼系グループのほか、反移民を掲げる極右グループもデモを展開。極右政治家がコーランを燃やした。
トルコ外務省は声明で「聖典への卑劣な攻撃を最も強い言葉で非難する」として対処を要求。これに先立ち、抗議行動への規制措置が講じられていないとして、27日に予定されていたスウェーデン国防相のトルコ訪問を中止すると発表した。
スウェーデンのビルストロム外相は、ツイッターに「わが国には広範な表現の自由があるが、それは政府や私自身がその意見を支持することを意味しない」と投稿し、火消しに努めた。
だが、コーランを燃やしたことには、サウジアラビアやヨルダン、クウェートなどアラブ諸国でも反発が広がっている。サウジ外務省は声明で「わが国は対話と寛容、共存の価値拡散を求めるとともに、憎悪や過激主義を拒絶する」と訴えた。