[24日 ロイター] – 「メディア王」の異名をとるルパート・マードック氏が、米ニューズ・コープと米フォックス・コープの再統合計画を撤回したことが、24日に当局に提出された書類で分かった。再統合が株主にとって「最適ではない」と判断した。

マードック氏は2013年、メディア大手ニューズを出版部門ニューズと娯楽部門21世紀フォックスの2社に分割。21世紀フォックスはその後フォックスとなった。昨年秋に再統合計画を打ち出した。

事情に詳しい関係者らによると、ニューズ・コープの株主からの反発が再統合撤回の背景にあるとみられている。インデペンデント・フランチャイズ・パートナーズやT・ロウ・プライスなど、ニューズ・コープの大株主の一部はかねてより再統合に難色を示していた。

ニューズ・コープの過小評価につながるとして再統合に反対していた投資会社のアイレニック・キャピタルは、計画撤回を歓迎。アダム・カッツ最高投資責任者(CIO)は「正しい決定だ」とし、「ニューズ・コープには今後、株主のために大きな価値を生み出す機会がある」などと話した。

また、関係筋によると、ニューズ・コープは不動産情報サイトのリアルター・ドット・コムを運営するムーブ社の株式を約30億ドルでコースター・グループに売却する方向で協議を行っている。

ニューズ・コープも売却交渉を確認した。ただ、実際の取引につながる保証はないともした。

コースターの広報担当者は「株主価値の最大化に向けて、常にさまざまな企業との合併買収(M&A)の機会を評価している」とした上で「市場のうわさや憶測」にはコメントしないと述べた。

ニューズ・コープは14年、ムーブを9億5000万ドルで買収することに合意した。当時はオーストラリアが中心だったデジタル不動産事業を多角化することが狙いだった。

昨年11月時点の資料によると、ニューズ・コープが持つムーブの80%株の価値は推定で14億ドル(1株当たり2.47ドル)。