[ワシントン 27日 ロイター] – 米商務省が27日発表した2022年12月の個人消費支出(PCE)は前月比0.2%減った。減少は2カ月連続で、23年に向け経済が低成長路線に入る中、インフレの鈍化継続を示した。米連邦準備理事会(FRB)が来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げペースをさらに減速する余地を与える可能性がある。
ロイターがまとめた市場予想は0.1%減だった。11月は0.1%減と、当初発表の0.1%増から下方改定された。
12月のPCE価格指数は前月比0.1%上がり、上昇率は11月と同じ。12月の前年同月比伸び率は5.0%と、11月の5.5%から鈍化し、21年9月以来1年3カ月ぶりの低水準となった。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は12月の前月比上昇率が0.3%。11月は0.2%だった。12月の前年同月比伸び率は4.4%と、11月の4.7%から鈍化し、21年10月以来の小幅な伸びとなった。
FRBは金融政策のためにPCE価格指数に着目している。他のインフレ指標も著しく鈍化した。
FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「経済見通しが悪化する中、FRBは慎重に行動する必要がある」とし、「FRB当局者はインフレとの戦いで、始まりではなく終わりに近づきつつある」と述べた。
BMOキャピタル・マーケッツのシニア・エコノミスト、サール・グアティエリ氏は「物価と借入コスト上昇の打撃を受け、米家計は支出を減らし、第1・四半期の国内総生産(GDP)押し下げに寄与する公算が大きい」と指摘。「同時に物価上昇を緩和させることでFRBのインフレ対応を後押しし、追加利上げを制限することは朗報だ」と述べた。
自動車や家具などの耐久財への支出は1.9%減。11月は3%減だった。サービスは0.5%増。住宅・光熱費や航空旅行、ヘルスケアなどへの支出が堅調だった。
インフレ調整後の個人消費は0.3%減と、この1年で最大の下げとなった。11月は0.2%減だった。
個人所得は0.2%増と、4月以来8カ月ぶりの小幅な伸びにとどまり、今後の個人消費の行方に影を落とした。
賃金は0.3%増で、伸びは11月と同じ。しかしインフレ鈍化を受け、消費者の購買力が拡大していることを意味する。
インフレを考慮した自由裁量所得は0.2%増。貯蓄率は3.4%と、11月の2.9%から上昇し、7カ月ぶりの高水準となった。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、ティム・クインラン氏は「過去6カ月と同じペースでの過剰貯蓄取り崩しが続いても、家計にはまだ約9カ月分の支出力がある」という試算を示した。
今回のデータは、26日に発表された22年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値に含まれている。第4・四半期の個人消費は引き続き堅調に推移し、GDPの年率換算で前期比2.9%増になった経済成長を下支えしたことを示していた。個人消費は米経済活動の3分の2超を占める。
米個人所得・消費支出統計を受け、FRBが2月と3月にそれぞれ0.25%ポイントの利上げを決定し、その後は引き締めを停止する可能性があるとの観測が高まった。