[エルサレム 30日 ロイター] – ブリンケン米国務長官は30日、暴力の応酬が激化しているイスラエルとパレスチナ双方に沈静化を促し、「2国家共存案が紛争解決に向けた唯一の道」という認識を再確認した。
中東諸国歴訪中のブリンケン長官はテルアビブに到着後、記者団に対し「緊張をあおるのではなく、落ち着かせるための措置を取ることは全ての当事者の責任だ」と語った。
イスラエル警察によると、エルサレム郊外のユダヤ教の礼拝施設(シナゴーグ)で27日発生した銃撃事件では少なくとも7人が死亡。イスラエル軍は前日にヨルダン川西岸ジェニンで急襲作戦を実行し、パレスチナの武装組織メンバー7人と民間人2人の計9人が死亡した。
ブリンケン長官は27日の事件について「信仰を実践するという普遍的な行動への攻撃で、われわれは最も強い言葉で非難する」とし、「罪のない人々の命を奪うテロ行為を称賛するもの全てを非難する。より多くの罪のない犠牲者に対する復讐を呼びかけることは答えではない」と強調した。
ブリンケン長官はエルサレムでイスラエルのネタニヤフ首相と会談。会談後「2国家共存案」が紛争解決に向けた唯一の方法との米国の考えを改めて示した上で、「ネタニヤフ首相にも伝えたが、このビジョンから遠ざかることは、イスラエルの長期的な安全保障と民主主義国家としての長期的なアイデンティティに有害だとわれわれは判断している」と述べた。
また、米国とイスラエルの民主主義の強みは「新たな提案が受け入れられ、それを存続させるためには、新たな提案に対してコンセンサスを得ることが最も効果的という認識だ」とした。
ブリンケン氏は31日にパレスチナ自治政府のアッバス議長と会談する。