[ワシントン 3日 ロイター] – 米労働省が3日発表した1月の雇用統計で、非農業部門雇用者数は51万7000人増加し、市場予想を上回る伸びとなった。失業率は3.4%と53年半超ぶりの低水準。賃金の上昇率は一段と緩やかになったものの、労働市場の引き締まり継続を示唆し、米連邦準備理事会(FRB)のインフレ対応を複雑にする可能性がある。
ロイターまとめた非農業部門雇用者数のエコノミスト予想は18万5000人増。12万5000人増から30万5000人増まで幅があった。1月の雇用の伸びは、22年の月間平均である40万1000人増も上回った。
22年12月分の雇用者数は22万3000人増から26万人増に上方修正された。
ウニクレディト銀行のチーフインターナショナルエコノミスト、ダニエル・ベルナッザ氏は「労働市場はなお過熱状態にあり、FRBが好むには熱すぎる」と指摘。「FRBが早ければ3月の会合で利上げを停止するかもしれないと見込んでいた向きは失望することになりそうだ」と述べた。
1月の時間当たり平均賃金は前月比0.3%上昇。12月は0.4%上がっていた。1月の賃金上昇率は前年同月比4.4%と、12月の4.8%から低下し、21年8月以降で最小の伸びとなった。エコノミスト予想は前年比4.3%上昇だった。
平均労働時間は34.7時間。12月は34.4時間だった。
BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サール・グアティエリ氏は「雇用が好調な伸びを維持し、労働市場がさらに引き締まれば、物価安定回復に向けたFRBの目標を脅かす。さらに数回の利上げにつながれば、最終的に景気を悪化させるだろう」と述べた。
ブリーン・キャピタルのシニア経済アドバイザー、コンラッド・デクアドロス氏は「成長鈍化が認識されていることから、雇用者数の力強い伸びと総労働時間の堅調な増加に懐疑的になるのは当然だが、われわれは今回の雇用統計に向けて、ほとんど全ての雇用関連指標が労働市場の状況改善を示していると指摘してきた」と述べた。
バイデン米大統領は3日、1月の米雇用統計で雇用の大幅増と低水準の失業率が示されたことを受け、米経済の強さを示しているという認識を示した。
業種別では、レジャー・接客が12万8000人増で、全体の伸びを主導。うちレストラン・バーは9万9000人増だった。しかし、レジャー・接客業の雇用は依然としてコロナ禍前の水準を49万5000人下回っている。
専門職・ビジネスサービスは8万2000人増。派遣社員も2万5900人増と、数カ月間続いた減少からプラスに転じた。
政府は7万4000人増。カリフォルニア州の大学職員がストライキから復帰したことを反映した。
建設業は2万5000人増。製造業は1万9000人増だった。
また、労働統計局(BLS)による雇用統計の年次基準改定に伴い、22年3月までの12カ月間の雇用者増加数は前回発表分から56万8000人増加。4─12月までの改定でも前回発表分から増加。22年の雇用者増加数は前回発表の450万人から480万人に上方改定された。
ブラックロックのグローバル債券部門最高投資責任者(CIO)、リック・リーダー氏は、今回の雇用統計は「労働市場がクラッシュしないことを示している上、大きな逆風に直面しても、経済がいかに適応し、調整して活力を維持できるかを示す証拠でもある」と語った。