[東京 22日 ロイター] – 東京ガス9531.Tは22日、総還元性向(連結純利益に対する配当と自社株取得の比率)について、各年度でこれまでの5割から4割程度に引き下げる方針を明らかにした。笹山晋一副社長は会見で、地政学リスクへの対応やメタネーション(都市ガスの主成分であるメタンを合成する技術)などの脱炭素技術開発の加速のためには「内部留保を高め資本を充実させていくことで、リスクに対する強度を高める必要がある」と述べた。
2025年度までの3カ年の中期経営計画発表会で明らかにした。新しい総還元性向は、24年3月期の期末配当から適用する。
脱炭素の分野では小規模な実証を行ってきたが、今後は規模を拡大する。脱炭素においては30年までの投資が「一つの勝負」(笹山副社長)で、この間に1000億円程度を投資する予定。そのため、この期間は総還元性向を維持していく見通しという。
再生エネルギーの分野では、洋上風力発電にも注力する。他社とアライアンスを組んだ上で、現在、経済産業省と国土交通省が実施している国内大規模洋上風力発電の入札第2弾にも応札すると明らかにした。
リスク管理をしつつ成長投資を拡大させることで、25年度のセグメント利益(営業利益と持分損益の合計)は1500億円を目指す。20─22年度平均は1300億円となっている。
総還元性向の方針変更を受けてこの日の東京株式市場で同社株は急落し、前日比6.43%安の2505円で取引を終えた。