• 利上げ加速の用意とパウエル議長、富裕層増税をバイデン氏提案へ
  • 中国の金融監督、ゴールドマンCEOの景気感、電子取引の人員採用
上院銀行委員会での証言に臨むパウエルFRB議長(2023年3月7日) Photographer: Al Drago/Bloomberg

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長をかつて、「スーツを着たゴルディロックス」と呼んだインタラクティブ・ブローカーズのスティーブ・ソスニック氏。7日の上院証言ではそのゴルディロックスが、ゴングが鳴ると同時にセンターに躍り出るボクサーのように「戦う気満々だった」と、タカ派姿勢を評しました。8日の証言は、野党・共和党が過半数を占める下院の金融委員会が相手です。インフレや財政支出を巡り厳しい質問が予想され、パウエル氏はますます戦う気満々にならざるを得ないかもしれません。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

より高く、より速く

パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は7日の議会証言で、「最新の経済データは予想より強く、金利の最終到達水準が従来想定を上回る可能性が高いことを示唆している」と発言。「経済データが全体として、より速い引き締めを正当化するのであれば、利上げペースを加速させる用意があるだろう」と述べた。議長は2月には利上げペースを落とす可能性を示唆していた。3月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合時に示す最新のドットプロット(金利予測分布図)では予測が上方修正される可能性が高いと明言。また、データで正当化されれば、FOMCは次回会合でより大きな利上げ幅に戻す用意があるだろうと述べた。

増税

バイデン米大統領は9日に発表する2024会計年度(23年10月-24年9月)予算教書で、年所得が40万ドル(約5440万円)を超える納税者を対象に、特定所得に課すメディケア税率を現在の3.8%から5%に引き上げることを提案する。メディケア(高齢者・障害者向け医療保険制度)の支払い能力を強化する計画の一環で、薬価交渉の新たな権限を政府に認める案も提示する。米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で説明した。米下院は野党・共和党が過半数を占めることから、大統領の目指す予算が実現する可能性は極めて低い。

国務院直属

中国が金融監督機能を集約し、新たな規制当局を創設する。60兆ドル(約8140兆円)規模の金融システムに対する共産党の指導を強める。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に提出された見直し案によれば、新設される国家金融監督管理総局は銀行保険監督管理委員会(銀保監会)を吸収し、証券業界を除く全ての金融セクターを担当する。投資家保護やアント・グループといった金融持ち株会社の監督などの機能も中国人民銀行(中央銀行)から引き継ぐ。銀保監会は改革後に解散。国務院直属となる証券監督管理委員会(証監会)は社債発行の監督権限を国家発展改革委員会(発改委)から委譲される。

楽観と慎重

米ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は、米経済がソフトランディング(軟着陸)を果たす可能性は半年前より「有意に高まっている」と述べた。一方で、米経済はなおウクライナでの戦争や中国と西側諸国との関係など、さまざまな課題に直面しているとも指摘。「現在より困難な状況になり得るという事実に備える必要があるだろう」と述べた。

トレンド逆行

米国の銀行と証券会社は株式の電子トレーディング担当人員を増やす計画だ。人員削減が進むウォール街の他事業に逆行する。コーリション・グリニッチが25社を対象に実施した調査によれば、セルサイドの会社では半分以上が向こう1年半の間に株式電子取引デスクのカバレッジ拡大を予定している。3割近くは取引執行・分析コンサルティングで人員を増やす見込みだと回答し、アルゴリズム関連セールスで採用を計画しているとの回答も約25%に上った。

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