- 米地銀株が急落、米利上げ停止観測、ウィルソン氏の戻り売り推奨
- ファイザーのシージェン買収、中国・ウクライナ首脳会談か
13日は米国で今年の夏時間が始まって最初の月曜日。冬時間よりも1時間早く起きないといけないため、眠気を覚えた市場参加者もいたでしょうが、シリコンバレー銀行(SVB)破綻の余波で地方銀行の株価は目が覚めるような急落です。ただ、S&P500種株価指数金融株の中でも地銀の指数が15%弱と2桁の下げに対し、都市銀行の指数は4.7%安にとどまっています。2008年のような金融危機に発展するのかどうか、それは利上げ継続・停止の議論にも影響しそうです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
地銀急落
銀行株へのエクスポージャー削減を投資家が急ぎ、業界全体に混乱が広がっている。複数の銀行株が記録的な大幅安に見舞われ、取引停止が続出した。とりわけ地方銀行の下げがきつく、KBW地銀指数は一時13.7%安と、取引時間中として2020年3月以降で最大の下落率を記録した。米連邦準備制度や連邦預金保険公社(FDIC)などが国内全ての預金を保護できるほどの大規模な銀行向け安全措置を新たに発表したが、銀行株への売り浴びせに歯止めはかかっていない。
利上げ停止観測
米2年債利回りが急速に低下し、今年の最低水準を記録。安全への逃避で政府債相場が急伸し、米銀破たんを受けて連邦公開市場委員会(FOMC)は金融引き締め停止に追い込まれると市場はみている。早ければ今月にも利上げサイクルを休止する可能性があると、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のダニエル・アイバシン最高投資責任者(CIO)は予想する。今の引き締めサイクルについて、金利スワップ市場が現在織り込む25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利上げの確率は50%を割り込んだ。
反発を捉えて
弱気で知られるモルガン・スタンレーのストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は、SVB破綻を受けた米当局の支援措置で米国株が反発すればその機会に売ることを勧めた。リポートで「SVBや他の銀行の差し迫った流動性危機を沈静化させるための政府介入によって株価が上昇した場合、売ることを提案する。少なくとも弱気相場の中の新たな底を付けるまでは売りだ」と論じた。一方、パーシング・スクエア創業者のビル・アックマン氏は、政府が「正しいこと」を行う限り、急落後の米地方銀行株は「驚くほどお買い得だ」と指摘した。
シージェン買収
米製薬大手のファイザーは米抗がん剤メーカーのシージェンを買収することで同社と合意した。シージェンの企業価値を430億ドル(約5兆7300億円)と評価する取引となる。ファイザーはシージェンに対し1株当たり現金229ドルを支払う。これはシージェンの10日終値を3割上回る水準。シージェンは「抗体薬物複合体(ADC)」と呼ばれる医薬品の開発でリーダー的存在。ADCでは抗体が高濃度の有効成分をがん細胞まで直接運ぶため、効き目が高い一方、副作用は少なくなることが期待される。
中国・ウクライナ首脳
中国の習近平国家主席がウクライナのゼレンスキー大統領とバーチャル形式で会談する計画だと、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が事情に詳しい関係者の情報を基に報じた。習主席は来週、モスクワを訪問しプーチン大統領と会談する見通しだが、ゼレンスキー氏との対話は恐らくその後だという。実現すれば、ロシアのウクライナ侵攻後に習氏がゼレンスキー氏と話すのは初めてとなる。
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