• ECBが銀行のAT1債リスク調査拡大、Fリパブリック株が急反発
  • CSファースト・ボストン、岸田首相ウクライナ訪問、米中古住宅
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長(2023年3月8日) Photographer: Samuel Corum/Bloomberg

「物価安定と金融の安定は調和する。両立できないものではない」と言ったのは、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁。先週は銀行システムへの警戒感が広がる中で、宣言通り0.5ポイントの利上げを決めました。ダドリー前ニューヨーク連銀総裁は、現在は2008年の金融危機当時と違うとし、米金融当局はインフレと銀行への影響波及の両方に同時に対処できると主張しています。米連邦公開市場委員会(FOMC)は22日にどういった判断を下すでしょうか。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

間接的エクスポージャーも

欧州中央銀行(ECB)は域内金融機関のバランスシートにクレディ・スイス・グループ劣後債の持ち高がほとんど、あるいは全くないことを把握したが、今度は間接的なエクスポージャーを各金融機関に尋ねている。事情に詳しい関係者が明らかにした。関係者によると、ECBは金融機関に対する問い合わせの幅を広げ、クレディ・スイス救済に伴い無価値となる見通しの債券で取引先が損失を被り、それによるリスクがあるかどうかを確認している。

一時60%上昇

21日の米株式市場で地銀ファースト・リパブリック・バンクが急反発。前日には上場来安値で終了していた。同行の支援を巡り、JPモルガン・チェースが新たな案を提示したことが好感された。ファースト・リパブリックの株価は一時60%近く上昇。終値は29%高だった。同業のウェスタン・アライアンス・バンコープやパックウェスト・バンコープなども上昇した。JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)はファースト・リパブリックに対して主要銀行が行った計300億ドル(約4兆円)の預金の一部または全体を資本注入に転換する新たな案を提示したと、ブルームバーグ・ニュースが前日に報じた。

CSファースト・ボストンに関心乏しく

クレディ・スイス・グループを買収するUBSグループは、クレディの投資銀行部門を新たな企業として独立させるより、同部門から優秀な人材だけを選択的に採用したい考えだ。協議に詳しい関係者が明らかにした。UBSの幹部はクレディ・スイス側に、自行の投資銀行業務を選別的に強化しつつ、高リスクの事業は手放したい意向を伝えた。最終決定には至っていないとして、関係者らは匿名を条件に語った。当初の協議では、CSファースト・ボストンのブランドでクレディ・スイスの投資銀行部門をスピンアウトする計画の継続に、UBSはほとんど関心を示さなかったという。スピンアウト後のCSファースト・ボストンは、UBSの新たな競争相手となる可能性もある。

広島サミット招待

ウクライナを訪問中の岸田文雄首相は、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行った。日本の首相による同国訪問は昨年2月のロシアによる侵攻後初めて。先立って訪れていたインドから事前に日程を公表せずに向かう異例の対応となった。岸田首相は首都キーウでゼレンスキー大統領と面会し、日本および日本が議長を務める主要7カ国(G7)としてウクライナへの連帯と揺るぎない支援を直接伝えた。首相はゼレンスキー大統領をG7広島サミットに招待。大統領はウクライナの戦後復興で「日本は主要なパートナーの一つになり得る」と述べ、自動車産業やグリーンエネルギー開発などを中心とする支援への参加を呼び掛けた。

連続マイナス止まる

米中古住宅販売件数は2月に季節調整済みで前月比14.5%増え、2020年半ば以来の大幅増加となった。金利上昇を背景に1年間続いた過去最長の連続減少がストップした。前月比の伸び率と販売件数はいずれもブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の最も高い予想を上回った。中古住宅価格(季節調整前、中央値)は前年同月比0.2%下げて36万3000ドル(約4800万円)。11年ぶりの下落となり、前年同月比ベースでの記録的な連続上昇が終了した。

その他の注目ニュース

米当局、全ての預金保護の方法を検討-危機拡大に備えて (1)

AT1債、欧州銀で最も依存するのはUBS-クレディSでは無価値に

米政権、資金援助対象の半導体企業に中国での増産上限設定へ