[パリ 23日 ロイター] – フランスで23日、年金制度改革に抗議する全国的ストライキが9日目に入り、列車の運行が中断したほか、一部の学校が休校となった。内務省によると、抗議活動の参加者は全国で109万人。そのうち首都パリの参加者は11万9000人となり、1月に抗議活動が始まって以来最多となった。
抗議活動はおおむね平和的なものだったが、パリでは無政府主義者「ブラック・ブロック」の集団が店舗の窓ガラスを割るなどの破壊行為に及んだため、警察が催涙ガスを用いて制圧に乗り出す場面もあった。BFMテレビによると、26人が逮捕された。
ル・パリジャン紙によると、デモ隊は早朝に南西部トゥールーズ付近の高速道路と西部レンヌのバス発着場を封鎖した。
電力業界もストにより電力供給が削減された。
マクロン大統領は22日、退職年齢を2歳引き上げ64歳とする年金制度改革法について、国民の抵抗が強くても必要不可欠であり、年内に施行されると述べた。
穏健派の労働組合、仏民主労働総同盟(CFDT)を率いるローラン・ベルジェ氏はBFMテレビに対し、政府は同法を撤回しなければならないと訴えた。
一連の抗議行動は4年前の「黄色いベスト運動」以来、最も深刻な反政府デモとなっている。世論調査では年金制度改革法への反対が大多数で、政府が憲法の規定を用いて採決なしで強制的に採択したことにも反発している。
デュソプト労働相は「退職年齢については今後も論争が続くだろう」と述べた。その一方で企業が利益を労働者に分配する方法など「対話を再開することが可能な多くのテーマがある」と指摘した。