[東京 23日 ロイター] – 東芝は23日、日本産業パートナーズ(JIP)の再建案を受け入れることを決めた。総額2兆円規模の買収により非公開化し、再建を図る。
JIPは7月下旬をめどに1株4620円で株式公開買い付け(TOB)の開始を目指す。今後は海外投資家など株主が応じるかどうかが焦点となる。
TOBでは全株式の取得を目指しており、買収総額は1兆9987億円となる。JIPは、国内事業会社17社、国内金融機関6社からの出資・融資を含め、買収総額を上回る金額に相当するコミットメントレターを取得しているという。
米国やカナダなど海外の競争法上の手続きを経て開始される。JIP陣営は7月下旬をめどに開始することを目指すとしているが、手続き次第となる。応募総数が買い付け予定数の下限(66.7%)に満たない場合は買い付けを行わない。
東芝の取締役会は、JIPの買収案に賛同するものの、現時点で、株主にTOBへの応募を推奨することはしないことも決議した。今後、TOB開始までの間に東芝の特別委員会の意見を踏まえ、株主に対して応募を推奨するかどうかを決議するとしている。
東芝をめぐっては、事業分割案が臨時株主総会で否決された後、2022年4月に株式の非公開化を含む戦略的選択の募集を開始。JIP連合が優先交渉権を得て、買収の正式提案に向け調整を進めた。
JIPと銀行団は昨年末までに融資の確定を目指していたが、複数の関係筋によると、財務制限条項のほか、役員の派遣を含め非公開化後の企業統治のあり方などを巡って協議が長引き、今年3月に最終提案がなされ、社外取締役で構成する特別委員会が提案を検討、取締役会での決定に至った。この間、東芝の業績が下方修正されるなど状況の変化に合わせてTOBの想定価格は引き下げられてきた。
23日の東芝株は4213円で取引を終えた。上場来高値は22年6月の5938円。
東芝はまた、これまで70円としていた23年3月期の期末配当を無配とすることも決めた。