▽戦闘の長期化懸念 72時間「停戦」も不透明―終結への調停困難・スーダン<時事ドットコム>2023年04月22日07時16分

20日、スーダンのハルツーム国際空港から上がる黒煙(AFP時事)
20日、スーダンのハルツーム国際空港から上がる黒煙(AFP時事)

 【カイロ時事】スーダンでの正規軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の武力衝突は22日で1週間。RSFは21日、国際社会の停戦要求に応じる形で、同日午前6時(日本時間同日午後1時)から72時間の停戦に合意すると発表した。ただ、これまで停戦合意は幾度も破られ、双方の深い対立で調停は困難を極める。人道状況が悪化する中、交戦の長期化が懸念されている。

各国、スーダン退避急ぐ 戦闘泥沼化で調整難航

 グテレス国連事務総長は20日、イスラム教のラマダン(断食月)後の祝祭「イード」が21日に始まるのに合わせ、3日間の停戦を訴えた。RSFは声明で「祝祭に合わせて市民が避難する人道回廊を開き、家族と会う機会を与える」と強調。ただ、軍は公式な反応を示さず、成否は不透明だ。

 スーダンでは2021年10月に軍がクーデターで実権を握り、意思決定機関の「統治評議会」の議長に軍のブルハン氏が、副議長にRSFのダガロ司令官が就いた。民政移管に伴うRSFの軍への統合を巡り両者は確執を深め、武力を伴う権力闘争に発展した。

 中東の衛星テレビ局アルジャジーラは20日、電話インタビューで双方の主張を伝えた。ブルハン氏は、RSFが「国家の破壊」を試みていると糾弾。「軍事的解決以外に選択肢はない」と徹底抗戦の構えを示した。

 一方のダガロ氏は、ブルハン氏が戦闘を始めたと訴え、「この先の交渉はあり得ない」と主張した。国際社会が即時停戦を求め調停を模索する中、両者が歩み寄る余地は少ない。

 戦闘は首都ハルツームやその近郊を中心に各地で発生。首都の大統領府や国際空港周辺では連日銃声や空爆の音が響く。国連によれば、21日までに少なくとも413人が死亡、3500人以上が負傷。実際はさらに多いとみられる。また、国際移住機関(IOM)は21日、銃撃戦に巻き込まれ、職員1人が死亡したと発表。命を落とした国連職員は計4人となった。

 住民の生活環境は悪化の一途だ。断水や停電に見舞われ、飲料水や食料が不足。略奪や攻撃に遭う病院も報告され、現地の医師団体は「医療システムのまひが迫っている」と危機感を募らせる。

 首都や近郊からの退避は数千人規模とされ、最大2万人が隣国チャドへ逃れたという。日本など各国も自国民の国外退避準備を進めている。

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