[ワシントン 1日 ロイター] – バイデン大統領は1日、訪米中のフィリピンのマルコス大統領と会談し、フィリピンが中国から圧力を受けている南シナ海を含め、同盟国の防衛に対する米国のコミットメントは「鉄壁」と表明した。
フィリピン大統領によるホワイトハウス訪問は約10年ぶり。
マルコス氏は「間違いなく現時点で世界で最も複雑な地政学的状況にある」同地域における米国の重要性を強調。バイデン大統領は「南シナ海を含むフィリピンの防衛に対し、米国は鉄壁のコミットメントを維持している」と明言した。
共同声明によると、南シナ海を含む太平洋でフィリピンの軍隊、公船、航空機への武力攻撃があれば、米国とフィリピンの防衛義務を定めた1951年の米比相互防衛条約の取り決めが発動されるという。
また、両首脳が「世界の安全保障と繁栄の不可欠な要素として、台湾海峡の平和と安定維持の重要性を確認する」との文言も盛り込まれた。
専門家によると、米国は中国による台湾攻撃に備え、フィリピンにミサイルなどを配置したいと考えているという。
マルコス氏は、南シナ海やアジア太平洋、インド太平洋地域で緊張が高まる中、フィリピンが米国に目を向けて関係を強化し、果たすべき役割を再定義するのは当然という認識を示した。
米政府当局者によると、両首脳は軍事協力および経済協力の強化に向けた新たな指針で合意する見通し。新指針は陸、海、空、宇宙、サイバースペースにおける軍事的な連携に重点を置き、米国は輸送機譲渡や巡視船の派遣などを検討しているという。
一方、マルコス氏は4月30日、フィリピンが軍事行動の「中継地点」になることは許さないとも述べていた。
また、1日には、中国が南シナ海での漁業権についてフィリピンと話し合うことに同意したと明らかにした。フィリピンが漁業権を有する漁場を中国側に示すため、漁場図をまとめるよう沿岸警備隊と外務省に指示したという。