[東京 2日 ロイター] – 後藤茂之経済財政相は2日、ロイターとのインタビューで、6月に岸田文雄政権が大枠を示す予定の子ども・子育て政策の財源について、日本経済の状況から考えて消費税は難しいとの見解を示した。米欧発の銀行不安で日本経済に大きな影響は生じていないとしつつ、金利・流動性リスクへの対応が必要と強調した。
異次元の少子化対策を年初に表明した岸田政権は、児童手当や育児休業、奨学金の拡充、住宅支援の強化などを並べた3月の政府試案をもとに子ども・子育て政策の大枠を6月にまとめる予定で、有識者による「こども未来戦略会議」をすでに2回開催している。
焦点となる財源について後藤経済財政相は「会議で方向性が出ているわけでない」とした上で「保険料や税など個別の各論の議論に入っている状況でない」と説明。「今の日本経済の状況を考えたとき、消費税が選択肢になるかどうかは相当難しい。財源としてはなかなか難しいと私自身は考える」と述べた。
<金利・流動性リスク対応必要>
欧米の銀行不安について「各国金融当局によって迅速な対応がなされ、世界の景気は3月以降も全体としてゆるやかな持ち直しが続いており、日本に対する大きな影響は生じていない」との認識を示した。日本の金融機関は「総じて充実した流動性を保有しており金融システムも総じて安定している」とした。
同時に「欧米各国で金融引き締めが続くなかで、世界経済の下振れや、金融資本市場の変動によるリスク要因には十分な注意が必要」と述べ、「世界経済や金融資本市場にリスクがありうることを念頭に、日本経済への影響をしっかり注視する」と述べた。「欧米金融市場で起きた金利・流動性リスクを見れば、金融・流動性リスクへのしっかりした対応が金融機関や政策当局は必要」とも述べた。
日銀の金融政策運営を巡り「デフレでない状況をつくりだしてきたとの意味で(現行の)政府・日銀共同声明の考え方は適切であり、ただちに見直す必要がないことは岸田首相と植田和男総裁の間で認識が共有されている」と改めて強調。 今後の日銀には機動的な政策運営を望むと述べ、機動的にとは「経済・金融の状況に応じた適切な政策運営」と解説した。
2025年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を黒字化する財政健全化目標に関しては「1月に示した試算では、成長実現ケースが実現しこれまでの歳出改革努力を継続した場合には足元の税収増にも支えられ、(26年度以降)黒字化する姿が示されている」と指摘した上で、「今経済の不確実性が高まるなかで、こうした姿をそのまま実現するのは容易でない」と述べた。
政府としては「市場や国際社会における信認が失われることがないよう、まずはこれまでの健全化目標に取り組む」と語った。
(竹本能文、梶本哲史 編集:石田仁志)