全国の物価の先行指標となる5月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比3.2%上昇となり、前月の同3.5%上昇から伸び率が縮小した。市場予想の3.4%上昇を下回った。食料品の高い伸びが続く一方、政府対策などに伴うエネルギー価格の下落が下押し要因となった。総務省が26日発表した。
コアCPIの伸び率が前月を下回るのは2カ月ぶり。4月の全国コアCPIは3カ月ぶりに伸び率が拡大したが、日銀は先行きについて、輸入物価の鈍化などを背景に2023年度半ばにかけて2%を下回る水準にプラス幅を縮小していくとの見方を維持している。
その後は再びプラス幅を拡大していくと日銀は見込むが、植田和男総裁は25日のグループインタビューで、「自信がない。もう少し丁寧にみたいという判断が続いている」と指摘。基調的な物価を規定する需給ギャップやインフレ期待の動き次第で「ボトムが早まったり、遅くなったりということだと思う」と語った。
4月末に示した経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、政策金利に関するフォワードガイダンス(指針)を廃止する一方、「賃金上昇を伴う形」での物価目標実現を政策指針に盛り込んだ。植田総裁は、賃金は重要な要素としつつも、「賃金そのものを目標にしているわけではない」と説明。政策変更はあくまでも持続的・安定的な物価2%の達成が見込めるかで判断するとの考えを示した。
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