[東京 29日 ロイター] – 東芝の島田太郎社長は29日に開催した株主総会で、7月下旬にも日本産業パートナーズ(JIP)が主導する株式公開買い付け(TOB)が開始されることを踏まえ、非公開化により安定した株主基盤のもとで一貫した事業戦略が可能になると理解を求めた。

東芝は8日、TOBへの応募を株主に推奨することを決議。取締役会が、TOBによる株式非公開化を目指すJIP案を実現可能かつ公正・妥当であり最善と判断した。

戦略的選択肢の検討などを進めてきた特別委員会のブラック委員長(社外取締役)は総会で、将来的に再上場する可能性も除外できないが、今回の提案が最善であると判断したと語った。

島田社長ら取締役11人の選任議案は賛成多数で可決された。

定時株主総会は午前10時から都内のイベントホールで行われ、午後0時44分(前年は午前10時─午後0時11分)に終了した。出席者は346人(同198人)、質問者数は18人(同14人)だった。

総会に出席した溝口大翔さん(18)は、昨年TOBの報道を知り東芝株を購入した。TOB価格について「(総会では)納得していない人が多い印象を受けた。自分もしていないが、議決権の関係もあるので仕方ないとは思う」と述べた。非上場については「これまではアクティビスト(物言う株主)の影響で安定した経営ができていなかったので、非上場化したほうが経営のためにはいいと思う」と語った。

同じく総会に参加した50代男性は「非上場化に関しては、反対している人は少ないのではないか」とする一方、「宙に浮いた状態なのでは。(TOB成立は)まだ先のような気がする」との見方を示した。