[東京 12日 ロイター] – 日銀が12日発表した「生活意識に関するアンケート調査」(第94回<2023年6月調査>)によると、1年後の物価が「上がる」と予想する回答者の割合は86.3%となった。前回3月調査の85.7%から増加し、2022年6月調査以来の高水準。原材料高の価格転嫁が広がる中で、物価上昇を予想する人の割合が増えている。
ただ、1年後の物価が「かなり上がる」との回答は28.2%で前回の33.1%を下回る一方、「少し上がる」は58.1%で前回の52.6%を上回った。「少し上がる」の58.1%は20年3月調査以来の高水準。1年後の物価予想の平均値は10.5%上昇、中央値は10.0%上昇。平均値は3月の11.1%上昇を下回った。
5年後に「上がる」との予想も3月調査の75.4%から79.0%に増加し、こちらも22年6月調査以来の高水準。毎年の変化率予想は平均値が7.5%上昇、中央値が5.0%上昇だった。
日銀は2%の物価安定目標の実現には家計や企業のインフレ期待の高まりが重要と位置付けており、同アンケートは家計のインフレ期待の動向を把握する指標のひとつとなっている。
家計のインフレ予想をより深く分析する観点から、今回から5年後の物価が上昇すると考える理由が調査項目に入った。それによると、「最近物価が上がっているから」が79.8%で最多。次いで「中長期的に物価は上がるものだから」が35.1%などとなった。
このほか、先行きの地価動向について「上がる」との回答は38.4%となり、13年6月調査以来の高水準となった。
今回のアンケートの調査期間は5月11日から6月6日。
(和田崇彦)