[東京 21日 ロイター] – 日本で半導体工場の建設を目指す台湾力晶科技(パワーチップ)傘下の半導体受託生産大手・力晶積成電子製造(PSMC)日本法人の呉元雄(ジョー・ウー)社長は21日、SBIホールディングスと設立する新会社を「5―7年で上場させたい」との意向を示した。
ロイターとのインタビューで語った。呉社長は、新会社への出資についてPSMCは過半数を持たないとし、SBIのほか、顧客である半導体メーカーや地方金融機関などにも保有してもらいたい、とした。
SBIとPSMCは5日、日本で半導体工場を立ち上げるための新会社を共同で設立すると発表した。呉社長は台湾積体電路製造(TSMC)による熊本工場建設を機に、同社でも検討を始めたという。
現在台湾に新工場を建設中で本来なら投資費用の面から、あと2年程度待つところだが、「政府、地方自治体の支援やSBIの金融面のサポートがある今、建設するのが適切と判断した」と述べた。
日本政府は経済安全保障上、半導体を重要物資として、国内供給力を高めたい考え。今年度だけで1.3兆円の予算を盛り込み、TSMCの熊本工場には4760億円を助成している。来年度も供給網の強靭化に向けて、継続して支援していく方針だ。
顧客である半導体メーカーにとっても、米中摩擦など地政学リスクの高まりなどにより、生産地域の分散化は課題になっている。呉社長は、「顧客から地域分散に対する要望がきていた」と話す。
半導体の製造には莫大な設備投資費用がかさむが、日本勢が十分に投資をしてこなかったことも背景にある。電気自動車(EV)の普及が進む中、パワーデバイスなど車載向けの需要は急拡大しており、足元では三菱電機やルネサスエレクトロニクスなど生産能力の増強に動いているが、呉社長は、こうしたニーズを取り込めると踏んだ。
工場の建設地について呉社長は、九州は選択肢の一つとしたが、他の地方自治体とも話を進めているとした。
(浦中美穂)