[ロンドン 30日 ロイター] – 事業活動に関連した温暖化ガス排出量を算出・集計する「炭素会計」で、債券・株式売却の引き受けに関連した炭素排出量の算入を3分の1にとどめる案が支持されていることが関係者の話で分かった。
金融業界の温暖化対応を巡っては、融資だけでなく、債券や株式の売却によって資金を調達する資本市場業務に係る温暖化ガス排出に全責任を負うべきとの指摘が環境擁護派から出ている。
今月、銀行向けの国際基準策定に取り組む「金融向け炭素会計パートナーシップ(PCAF)」の作業部会で、資本市場ビジネスに関連する排出量の3分の2を炭素会計から除外する案が圧倒的な支持を得た。正式決定されれば、環境団体などの反発は必至だ。
大手金融機関は、2050年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロ(ネットゼロ)にする目標を掲げている。
関係筋によると、作業部会では、資本市場業務の比率が大きい銀行が、同業務による排出量について、責任を負うのは全体の33%にとどめるべきと主張。100%算入すれば、金融システム全体で二重計上につながるとの意見も出た。
作業部会では、大半が33%案を支持した。少なくとも2行が反対し、1行は100%算入を主張したという。
PCAFの理事会が、33%案を採用するか最終決定権を持つ。関係筋によると、まだ決定はされていないが、作業部会の意向を覆すことには消極的という。
作業部会は、モルガン・スタンレー、バークレイズ、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、HSBC、BNPパリバ、ナットウエスト、スタンダード・チャータード各行で構成。
バークレイズの広報担当者は、PCAFの排出量に関する基準策定作業を支持していると述べた。スタンダード・チャータードの広報担当者は、どのような算定基準でも構わないと述べた。それ以外の銀行はコメントを拒否ないし返答がなかった。
PCAFの広報からもコメントを得られていない。