【北京時事】中国の習近平国家主席ら最高指導部メンバーが河北省の避暑地・北戴河に集い、恒例の非公式会議を開いているもようだ。昨秋に共産党総書記として異例の3期目入りを果たし、周りを側近で固めた習氏だが、直近では外交・安全保障分野で事実上の更迭人事が相次いだ。秋の米中首脳会談をにらみ、人事や対米方針が最大のテーマとみられる。
例年、会議の日程や議題は一切明らかにされない。警備が厳しく、外国人記者は排除される。
2日、記者が北京から約300キロ離れた北戴河へ車で向かうと、高速道路出口の安全検査で止められた。ドローンを所持していないか確認された後、警察の事務所に連れて行かれ、「パスポート情報がシステムで確認できない」として北京に引き返すよう命じられた。入り口には銃を持った男が立ち、他に見張り役の3人が録画カメラを回していた。
国営新華社通信によれば、3日には蔡奇・政治局常務委員が習氏の委託を受け、北戴河に招いた先端科学技術の専門家らと面会した。習氏らの動静は今月に入ってから報じられておらず、党高官や引退した長老らが既に現地入りし、意見交換を行っているとみられる。
焦点となるのが、外相人事だ。中国では7月、1カ月にわたり動静不明だった秦剛外相の解任が発表された。理由の説明はなく、体調不良や権力闘争、女性問題といった臆測が依然として飛び交っている。再び外相を務めることになった外交トップの王毅党政治局員は一時的な代役とみられ、次期外相人事が内外の関心を集めている。
汚職への対応も議題となりそうだ。7月末には、核ミサイルを扱うロケット軍の司令官と政治委員の交代が明らかになった。香港紙などは、前司令官ら3人が汚職の疑いで調査を受けていると報じており、米側に軍事機密が漏えいしたという情報もある。
米中は、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた首脳会談を模索する。北戴河では、外相人事や軍組織の立て直しとともに、台湾問題や対米政策が協議されることになりそうだ。