[7日 ロイター] – 格付け会社ムーディーズは7日、米国の銀行10行の信用格付けを1段階引き下げたほか、一部の主要行を引き下げ方向で見直しの対象とした。

複数の主要行の見通しも「ネガティブ」に変更した。

評価を変更した銀行は全体で27行となった。

M&Tバンク、ピナクル・ファイナンシャル・パートナーズ、プロスペリティ・バンク、BOKファイナンシャルなどが格下げされた。

引き下げ方向で見直しとなったのは、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)、USバンコープ、ステート・ストリート、トゥルイスト・ファイナンシャルなど。

ムーディーズは「多くの銀行の第2・四半期決算で収益性への圧力が高まっていることが示されており、内部資本を生み出す能力が抑制されるだろう」とした。

また「2024年初めには緩やかなリセッションが見込まれる中、資産の質の低下が予想される。一部の銀行の商業用不動産ポートフォリオは特にリスクが高い」と指摘。

高金利やオフィス需要の低下、商業用不動産に対する与信縮小により商業用不動産への高エクスポージャーは主要リスクとの認識を示した。

同社は、キャピタル・ワン、シチズンズ・ファイナンシャル、フィフス・サード・バンコープなどの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。

PNCファイナンシャル・サービシズ・グループ、シチズンズ、ハンティントン・バンクシェアーズなどの格付けは据え置いた。

今年初めのシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の破綻は、米国の銀行セクターの信頼を損ない、当局の緊急対策にもかかわらず多数の地方銀行の預金流出につながった。

ムーディーズは、定められた自己資本比率に反映されていない含み損を多く抱える銀行は、現在の高金利下では信頼喪失の影響を受けやすいと警告している。