[シンガポール 8日 ロイター] – 世界的な気温上昇の結果、南極の海氷面積が今年、観測史上最少に縮小した。研究者は、この損失を取り戻す即効の解決策はないとしている。
フロンティアズ・イン・エンバイロメンタル・サイエンス誌に発表された研究論文によると、南極の海氷面積は昨年、最も縮小する夏(2月)の面積が1978年の衛星観測開始後、初めて200万平方キロメートルを下回っていたが、今年はさらに減少し、過去最少を更新した。
論文の共著者の一人であるリーズ大学のアンナ・ホッグ教授(訂正)は「この状況が改善するには数世紀とは言わないまでも、数十年はかかるだろう」と述べ、即効性のある改善策はないと指摘した。
ニュージーランドのビクトリア大学ウェリントン南極研究センターのディレクター、ティム・ナイシュ氏によると、今年の海氷面積は過去40年の平均値を20%下回る。その規模はニュージーランドの面積の10倍近くに相当する。
「いくつかのケースで限界に近づいている。一度それを越えると不可逆的な変化につながり、将来の世代が食い止められない結果をもたらすだろう」とナイシュ氏は述べた。
化石燃料の燃焼が加速させる地球温暖化は、南極大陸を極端な現象に対してより脆弱にさせ、その影響は「事実上確実に」悪化すると論文は指摘した。