[東京 10日 ロイター] – 日銀が10日発表した7月の企業物価指数(CGPI)速報で、国内企業物価指数は前年比3.6%上昇した。上昇率は前月の4.3%から縮小し、21年3月以来の低い伸びとなった。過去のコスト上昇分を価格転嫁する動きはあるが、ひところに比べると緩やかになっているという。前月比は0.1%の上昇だった。

日銀の試算では、2月から反映されている政府の電気・ガス価格激変緩和対策事業が0.6%ポイント押し下げに影響した。

前年比上昇率の寄与度で最も大きかったのは「飲食料品」で6.1%上昇。原材料や包装資材、エネルギーコストなどの上昇を転嫁する動きが出た。続いて「輸送用機器」が3.0%上昇、「パルプ・紙・同製品」が14.9%上昇した。

全515品目中、前年比で上昇したのは436品目、下落は72品目。日銀の担当者によると、飲食料品や家電、家具などの「川下製品」で過去のコスト上昇分を転嫁する動きが見られたものの、「その動きは緩やかなものにとどまっている」という。

前年比は29カ月連続で上昇したものの、上昇率は昨年12月の10.6%から7カ月連続で縮小している。大和証券の末広徹チーフエコノミストは「10─12月期にはマイナスとなる可能性がある」と指摘。インフレ動向について「本質的には賃金上昇率やサービス物価の上昇率をみるべきだが、市場は財価格中心のディスインフレによってインフレ懸念を弱めることになる」との見方を示した。

同時に発表された輸入物価指数(円ベース)は、前年比マイナス14.1%で、4カ月連続のマイナスだった。

*日銀の発表資料は以下のURLでご覧になれます。

(杉山健太郎)