内閣府が15日発表した4〜6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1.5%増、年率換算で6.0%増だった。プラス成長は3四半期連続となる。個人消費が弱含む一方で、輸出の復調が全体を押し上げた。

GDP実額は560.7兆円、コロナ前も上回り過去最高

QUICKが事前にまとめた民間予測の中心値は年率3.1%増で、大幅に上回った。前期比で内需がマイナス0.3ポイント、外需がプラス1.8ポイントの寄与度だった。

年率の成長率が6.0%を超えるのは、新型コロナウイルス禍の落ち込みから一時的に回復していた20年10〜12月期(7.9%増)以来となる。GDPの実額は実質年換算で560.7兆円と、過去最高となった。コロナ前のピークの19年7〜9月期の557.4兆円を上回った。

輸出は前期比3.2%増で2四半期ぶりのプラスとなった。半導体の供給制約が緩和された自動車の増加がけん引した。インバウンド(訪日外国人)の回復もプラスに寄与した。インバウンド消費は計算上、輸出に分類される。

輸入は4.3%減で3四半期連続のマイナスだった。マイナス幅は1〜3月期の2.3%減から拡大した。原油など鉱物性燃料やコロナワクチンなどの医薬品、携帯電話の減少が全体を下押しした。輸入の減少はGDPの押し上げ要因となる。

個人消費は前期比0.5%減、3四半期ぶりマイナス

内需に関連する項目は落ち込みや鈍りが目立つ。GDPの過半を占める個人消費は前期比0.5%減と、3四半期ぶりのマイナスとなった。

コロナ禍からの正常化で外食や宿泊が伸び、自動車やゲームソフトの販売も増加した。一方で長引く物価高で食品や飲料が落ち込み、コロナ禍での巣ごもり需要が一巡した白物家電も下押し要因となった。

設備投資は0.0%増と、2四半期連続プラスを維持したものの、横ばいだった。ソフトウエアがプラス寄与したが、企業の研究開発費などが落ち込んだ。住宅投資は1.9%増で3四半期連続のプラスだった。

公共投資は1.2%増で、5四半期連続のプラスだった。ワクチン接種などコロナ対策が落ち着き、政府消費は0.1%増と横ばいだった。

民間在庫変動の寄与度は0.2ポイントのマイナスだった。

名目GDPは年率換算で12%増、インフレが名目値を押し上げ

名目GDPは前期比2.9%増、年率換算で12.0%増だった。年換算の実額は590.7兆円と前期(574.2兆円)を上回り、過去最高を更新した。

国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比3.4%上昇し、3四半期連続のプラスとなった。輸入物価の上昇が一服し、食品や生活用品など国内での価格転嫁が広がっている。

雇用者報酬は名目で前年同期比2.6%増えた。実質では0.9%減で7四半期連続のマイナスとなった。物価の上昇に賃金が追いついていない。

世界をみると、米国は4〜6月期のGDPが前期比年率2.4%増と前の期から加速した。ユーロ圏も前期比年率1.1%増と3四半期ぶりにプラス成長となっていた。