【パリ時事】フランスのサルコジ元大統領(68)が「われわれはロシアを必要とし、彼らもわれわれが必要だ」などと述べ、物議を醸している。ロシアが侵攻するウクライナを軍事面で支える一角フランスからの、今なお影響力を保つ人物の発言だけに、波紋は大きい。ウクライナ高官は17日、「ロシアによる侵略戦争の正当化だ」と強く非難した。
ロシア寄りの発言の数々は、仏紙フィガロ(電子版)が16日に伝えたインタビューで飛び出した。サルコジ氏はロシアのプーチン大統領の誤りを認めつつ「出口を見つける必要がある。ロシアは引き続き欧州の隣国だ」と強調。外交や対話が「受け入れ可能な解決策」を探る唯一の手段だと述べた上で、侵攻以前の状態を回復できると考えるのは「幻想」であり、ロシアに占拠された領土の完全な奪還を目指すウクライナの譲歩なくして和平はあり得ないと訴えた。
「ウクライナは西側と東側の橋渡し役で、中立的な国であるべきだ」とも主張。欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)への加盟は難しいとの認識も示した。
これに対し、ウクライナのポドリャク大統領府顧問はX(旧ツイッター)で「犯罪者の友人だからといって、他国の領土を取引(の道具に)してはならない」と反発。仏国内からも「サルコジ氏はロシアに買収された」「恥ずべき発言だ」と批判する声が上がった。
サルコジ氏は大統領当時の2008年、ロシア軍がジョージア(グルジア)領内に侵攻した紛争の和平合意をEU議長国として仲介。仏メディアによれば、最近はエリゼ宮(仏大統領府)にマクロン大統領を訪ね、さまざまな政策について意見交換や助言を行っている。