ロシア国営宇宙企業ロスコスモスは20日、無人月探査機「ルナ25」が月面に墜落したとみられると発表した。既に月周回軌道に到達しており、順調なら21日に月の南極付近に着陸する予定だったが、19日に通信が途絶えたという。
ロシアの月探査の試みは、ソ連時代の1976年の「ルナ24」以来、約半世紀ぶりだった。ロシアは2010年代前半、火星探査機「フォボス・グルント」などの失敗が相次ぎ、今回の打ち上げも15年ごろから大幅に遅れていた。ソ連時代以来の「宇宙大国」の威信に大きく傷が付くことになる。
ロスコスモスは調査委員会を立ち上げて原因を究明すると説明している。ただ、今後のロシアの宇宙開発計画に影響が出るのは必至だ。
一方、インド宇宙研究機構(ISRO)のX(旧ツイッター)によると、インドが最近打ち上げた無人月探査機「チャンドラヤーン3号」は23日ごろの南極付近への着陸を目指して20日、降下に向けた準備に入った。ロシアが今回、月着陸でインドに先んじる可能性はこれでほぼなくなった。
ルナ25は11日、極東アムール州ボストーチヌイ宇宙基地から打ち上げられ、16日に月周回軌道への投入に成功。17日には撮影した月の南極付近の写真が公開された。19日に着陸に向けた動作が試みられた後、通信が途切れる「異常事態」が発生し、そのまま復旧しなかった。