【北京時事】中国が中南米など日本以外の国から輸入した水産物の一部で、通関にかかる時間が長くなっていたことが18日、分かった。中国は日本産食品への検査を強化しており、この作業に人員を割かれたことが影響したとみられる。一方、日本産水産物については、放射性物質の検査項目を7月ごろから増やしたもようだ。
関係者によると、通関の遅れは中国の複数の税関で発生。鮮魚や冷凍品について、作業終了までの所要時間が、今春と比べて2倍程度かかるケースが出たという。
日本産水産物に対しては、セシウムやヨウ素に加え、新たにトリチウムやストロンチウムの検査が始まったもようだ。実施できる機関は多くなく、検査時間が長引いている。「中国は外交カードにしている。1カ月前に中国に着いた商品をまだ受け取れない」(日系食品メーカー)との声も上がる。
中国は東京電力福島第1原発の処理水を海洋放出する日本の計画に強く反発している。税関総署は7月上旬の声明で、日本産食品について「監督を強化し、厳格に100%検査する」と表明。その後、各地の税関で水産物に加え、コメや酒などの通関が滞るケースが続出した。日本政府は措置の撤回を求めている。
中国税関総署が18日発表した7月の貿易統計によると、日本からの魚介類輸入額は前月比約35%減の3238万ドル(約47億円)。日本産の扱いをやめる業者が出ており、早くもその影響が出た。
中国では水産物の調達先を日本から欧州などに切り替える動きも出始めた。ただ、輸入に必要な書類が間に合わず、通関が遅れるケースも多発している。