[ベンガルール 23日 ロイター] – インドは23日、無人月探査機「チャンドラヤーン3号」が月の南極付近に軟着陸したと発表した。月面着陸は米国、旧ソ連、中国に次ぎ4カ国目だが、南極付近への着陸は世界で初めて。
BRICS首脳会議に出席するため南アフリカを訪問中のモディ首相も、現地からインドの国旗を振って着陸を見守り「この瞬間は忘れられない。驚異的だ。これは新しいインドの勝利の叫びだ」と語った。
「チャンドラヤーン」とはヒンディー語とサンスクリット語で「月の乗り物」の意。2019年にインドが打ち上げた「チャンドラヤーン2号」は軌道船の展開に成功したものの、着陸には失敗した。今回はインドにとって2度目の挑戦だった。
今月20日、ロシアの47年ぶりの月面探査計画が失敗したことが分かった。21日に月面に軟着陸を果たす予定だった無人月探査機「ルナ25号」は軌道を外れ、月面に衝突したという。
インドの成功を受け、ロシアのラブロフ外相はBRICSサミットでのインドとの二国間会談で祝辞を述べた。
ロシアのプーチン大統領も大統領府のウェブサイトに掲載されたメッセージでインドを祝福。「宇宙探査における大きな前進であり、科学技術分野でのインドの目覚ましい進歩の証でもある」と述べた。
米航空宇宙局(NASA)のネルソン長官も祝辞をX(旧ツイッター)に投稿した。
インドでは多くの人がテレビ画面に釘付けになり、宇宙船が月面に近づく様子を見て祈りを捧げた。
約700万人がユーチューブのライブ配信を視聴した。
チャンドラヤーン3号は2週間にわたって稼働し、月面の鉱物組成の分析など一連の調査を行う予定。
インドは今回の月面着陸で、コスト競争力のある宇宙工学の評判を高めると期待されている。チャンドラヤーン3号の打ち上げ予算は約61億5000万ルピー(7400万ドル)で、13年公開の宇宙スリラー映画「ゼロ・グラビティ」の製作費を下回る。