[ソウル 24日 ロイター] – 北朝鮮が24日に行った2回目の軍事偵察衛星の打ち上げは前回に続いて失敗に終わったが、進歩もみられる。ただ極めて短い間隔での打ち上げが問題を引き起こしている可能性を専門家は指摘する。
今回は初の打ち上げから3カ月足らずでの試みだったが、北朝鮮の朝鮮中央通信(KCNA)によると、ロケットの3段目にシステムトラブルが発生した。当局は10月の再打ち上げ計画を表明した。
米ジェームズ・マーティン不拡散研究センターのミサイル研究者ジェフリー・ルイス氏はX(旧ツイッター)に「10月(の次回打ち上げ)というのはかなり度胸がある。北朝鮮がこれほど具体的なことは記憶にない」と投稿した。
KCNAはロケットの1段目と2段の飛行は正常だったが、3段目の飛行中に緊急爆破システムのエラーが発生したために失敗したと伝えた。
韓国航空宇宙大学のChang Young-keun教授は「早くも10月に3回目の打ち上げを発表したということは、1段目、2段目、3段目のロケットの性能と分離に問題がなかったということだ。緊急爆発装置の何が問題なのかを確認できたのだろう」と語った。
一部のアナリストは打ち上げの間隔が短いのは軍事的な目標よりも政治的な目標を重視している可能性があるとの見方を示している。
峨山政策研究院(ソウル)のYang Uk研究員は「実際に衛星を軌道に乗せるのではなく、金正恩朝鮮労働党総書記の功績を強調することがプロジェクトの焦点になっていることを異常に早いスケジュールが示唆している」と語った。
10月が衛星を軌道に乗せる今年最後のチャンスと指摘するのは北韓大学院大学校(ソウル)のYang Moo-jin教授。「風速や風向きの関係で冬場の打ち上げは難しく、10月が具体的な前進を遂げるための最後の選択肢になるだろう」と述べた。
韓国科学技術政策研究院の名誉研究員Lee Choon-geun氏は、天候とロケットの問題に加え、衛星自体もまだ宇宙でテストされていないと指摘。「北朝鮮の指導部が大規模科学の特性を知っているかどうか分からない。また失敗するかもしれない」と語った。
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▽北朝鮮の衛星打ち上げは「安保理決議違反」、米が非難 対話も模索<ロイター日本語版>2023年8月24日8:38 午前