パウエルFRB議長(9月20日)
パウエルFRB議長(9月20日) Photographer: Sarah Silbiger/Bloomberg

イスラエルとハマスの衝突で質への逃避が見られるものの、米10年債利回りは依然16年ぶりの高水準近辺にあります。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の米国担当チーフエコノミスト、 アナ・ウォン氏は9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の利回り上昇分が持続すれば、約0.5ポイントの利上げに匹敵すると分析。中東情勢の緊迫化による原油高騰でインフレ上振れリスクもこれに加わります。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は日本時間20日の午前1時、ニューヨーク・エコノミック・クラブで講演します。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

テスラ予想届かず

テスラの7-9月(第3四半期)決算は、利益がアナリスト予想を下回った。値下げと販売不振が利益率の重しとなった。株主宛て書簡によると、一部項目を除いた1株利益は66セントに減少。アナリスト予想の74セントに届かなかった。売上高は234億ドル(約3兆5100億円)に達した。一方、ネットフリックスは7-9月の会員数の伸びが市場予想を上回ったほか、米英仏3カ国の一部顧客を対象に値上げを実施すると明らかにした。

「前例のない支援」

バイデン米大統領は訪問先のイスラエルで同国への「前例のない支援」を週内に議会に求めると表明した。一方でガザとヨルダン川西岸地区の住民向けに1億ドル(約150億円)の人道支援を行う方針を表明。数百人が死亡したパレスチナ自治区ガザの病院での爆発については、イスラエルの責任ではないことを示唆する米国防総省の証拠を確認したと述べた。一方、イランがイスラム諸国に対してイスラエルへの石油禁輸を呼び掛け、病院爆発後に上昇していた原油先物相場は一段高となった。

マイナス金利解除も

元日本銀行審議委員の桜井真氏は、日本の実体経済が改善を続け、物価上昇の持続性も高まりつつある中、日銀は年内にもマイナス金利政策を解除する可能性があるとの見解を示した。物価上昇率が高止まりし、日銀が超低金利政策を継続する下で、日本の実質金利は先進国の中で最も低くなっていると説明。「過剰な金融緩和から実体経済の変化に対応した適切な緩和政策に戻す必要がある」とし、マイナス0.1%の短期政策金利をゼロ%に引き上げることを具体策として挙げた。

据え置き支持か

ウォラーFRB理事は、追加の金融引き締めが必要か判断する前に、さらなるデータを収集して待つことが可能だとの見解を示した。10月31日-11月1日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で金利据え置きを支持することを示唆した格好。一方、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁はインフレ率を当局目標の2%に戻すためには、政策金利を景気抑制的水準に「当面」とどめるべきだとの見解を示した。

膨張する米債務

FRBは、米政府が抱える33兆5000億ドル(約5000兆円)もの債務に対する投資家の不安にどう対応すべきか苦慮しており、今後、潜在的な政策の落とし穴に直面する可能性がある。赤字と債務をめぐる不安は長期金利に上昇圧力をかけ、成長を鈍化させ、失業率を押し上げる恐れがある。同時に、FRBが連邦政府の借り入れコストを抑えるために物価安定の目標を軽視していると受け止められれば、なおさらインフレの火種となり得る。

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