[30日 ロイター] – 米半導体大手ウエスタンデジタル(WD)(WDC.O)は30日、フラッシュメモリー事業をスピンオフ(分離・独立)すると発表した。同社はメモリー事業について日本のキオクシアホールディングス(東京・港区)と進めていた統合交渉が頓挫したばかり。
一部社債の借り換えのため、新規の社債発行による資金調達も発表した。
分離後に主にハードディスクドライブ(HDD)事業を手がける本体とフラッシュメモリーの新会社どちらも上場することになる。物言う投資家のエリオット・マネジメントの事業分離要求を受け入れた格好で、エリオットはこの日、分離を支持すると表明した。
WD株は30日の取引を7.3%高の41.8ドルで終了。ただ、その後に2028年満期の転換社債で13億ドル調達すると発表したことを受け、引け後の時間外取引で約6%下落した。調達した資金は24年満期の社債の借り換えに充てる。
WDは21年以降、キオクシアホールディングスと経営統合に向け交渉していたが、複数の関係者によると協議はこのほど中断。
WDのデービット・ゲックラー最高経営責任者(CEO)は「現在の制約を踏まえ、ここ数週間、独立した分離がWDの進化に向けた正しい次のステップであり、株主価値を生み出す点で最善の位置に立てるということが明確になった」と述べた。
その上で事業分離よりも「優れた価値」を生み出す他の選択肢があれば検討に前向きだと述べた。分離は24年後半を目標としているという。
キオクシアとの交渉についてさらなる詳細な説明はなかった。
WDは16年にサンディスクを買収し、スマートフォンやパソコンに搭載されるフラッシュメモリー事業に参入。新型コロナウイルス禍収束後にメモリー需要は落ち込み、供給がだぶついてメーカーに再編圧力がかかっていた。
サミット・インサイツ・グループのアナリスト、キンガイ・チャン氏は、WDのフラッシュメモリー事業に別の企業が買収を提案することは見込んでいないと述べた。