- FOMC2会合連続据え置き、米定例入札は緩やかに規模増加
- アップルの健康戦略、米経済統計、米政権の静かな対イスラエル圧力
「あと知恵というものは常に素晴らしい」。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が10月19日、ニューヨークのイベントで司会者からコロナ禍を振り返る質問を受けて、とっさに切り返したジョークです。慎重に原稿を練り上げた講演や、矢継ぎ早に質問をぶつけられる記者会見と異なり、着席してリラックスした雰囲気で行われた司会者との対話は、パウエル氏の人間的な側面を覗かせることがあります。この日の政策決定や景気判断も将来、「あと知恵」で違った言い回しでの説明があるのかもしれません。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
2会合連続
米連邦公開市場委員会(FOMC)は前会合に続き、主要政策金利を22年ぶり高水準で据え置いた。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは5.25-5.5%。米長期債利回りの急上昇で追加利上げの必要性が低下しているとのシグナルを発した。ただFRBのパウエル議長は12月の次回FOMC会合で利上げを決定することはあり得ると示唆。同時に引き締め局面が終了した可能性も認めた。インフレ率を当局目標の2%に戻す上で金融政策が十分に景気抑制的かどうか、まだ判断に確信を持てないとも議長は述べた。
緩やかな拡大
米財務省は四半期定例入札の規模を前四半期に比べて拡大したが、増額ペースは大半の主要ディーラーの予想より緩やかだった。発表を受けて、米国債相場は大幅に上昇(利回りは低下)した。来週の入札での3、10、30年債の発行額は計1120億ドル(約16兆9200億円)。多くのディーラーは前回と同じ増加ペースを予想し、1140億ドルになるとみていたが、それを下回った。前回8月の定例入札と今回で大きく異なる点は、10年債と30年債の発行ペースを減速させたことだ。20年債の入札規模は変わらなかった。
健康戦略
アップルは来年発売するスマートウオッチ「Apple Watch」の新モデルに、血圧の上昇を検知する新しいセンサーや、睡眠時無呼吸症候群を検出する新しいシステムを搭載する計画だ。ワイヤレスイヤホン「AirPods」を市販の補聴器に変える新機能も準備中。聴力テストの新機能にも取り組んでいる。複合現実(MR)ヘッドセット「Vision Pro」向けに、抗不安やエクササイズの機能を検討している。
米経済診断
ADPリサーチ・インスティテュートによると、10月の米民間雇用者数は伸びが市場予想を下回った。労働者の需要が低下していることを示した。米供給管理協会(ISM)が発表した10月の製造業総合景況指数は3カ月ぶり水準に低下。自動車業界でのストライキが受注や生産などに影響したとみられる。一方、9月の米求人件数は予想外に増加し、2カ月連続でプラスとなった。経済のさまざまなセクターで労働市場が力強さを維持していることが浮き彫りになった。
静かな圧力
バイデン米政権はこれまで、イスラエルに対する全面的な支援を公に表明しつつ、民間人の保護と紛争の拡大防止に向けた要請を抑えたトーンながらも執拗(しつよう)に伝達することで、一定の成果を上げてきた。しかし、微妙なかじ取りはここにきて難易度を増している。イスラエルの攻撃強化に伴いガザの人道危機が悪化。イスラエル北部のレバノンやシリアとの国境沿いにも戦闘が拡大し、紛争拡大への懸念が強まっているためだ。
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