竹本能文杉山健太郎

[東京 6日 ロイター] – 岸田文雄首相は6日、経済財政諮問会議でのあいさつで、先週策定した総合経済対策の早期実行に向けて臨時国会で速やかに補正予算を成立をさせると表明し、「続けて2024年度予算や規制・制度改革により第2の矢を放ち、新しいステージに向けた動きを確実なものにしていく」と語った。

首相は、日本がデフレから完全に脱却するため、今回の総合経済対策では賃上げの原資となる企業の稼ぐ力を強化する供給力の強化を最も重要な柱にしていると説明。同時に、デフレに後戻りしないための一時的措置として国民の可処分所得を下支えすることも重要であり、「来年の春闘に向けて、経済界に対して私が先頭に立って賃上げを働きかけていく」と述べた。

<民間議員、ポストデフレの政策検討を提言>

この日の諮問会議では、民間議員らが物価の現状や先行きについて議論を深め、ポストデフレのマクロ経済運営について多角的に検討すべきと提言した。

民間議員らは、今回の総合経済対策について、賃金と物価が好循環する「新たなステージ」に入るための効果的な実行を図るべきだと指摘。経済対策を好機としてデフレから完全脱却し、経済成長と財政健全化の両立を図る道筋を明らかにすべきだとした。

その上で、「物価動向への国民の関心が高まるなかで、物価の現状や先行きについて、消費者物価指数(CPI)の国内・海外要因、四半期の見通しなど諮問会議で議論を深め、ポストデフレのマクロ経済運営について多角的に検討すべき」と提言した。

民間議員らは中長期の課題として、人口減少下での経済成長の姿、アジアの高齢化を踏まえた日本のグローバル戦略、エネルギー需給と脱炭素目標の両立、地方の行政サービスやインフラの姿─などを列挙した。来夏にも取りまとめる経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」に向けた議論の起点となる見通しだ。

竹本能文、杉山健太郎 編集:石田仁志、田中志保