青木勝、下土井京子

日本銀行の植田和男総裁は8日、日銀の物価見通しに誤りがあったとの見解を示した。衆院財務金融委員会で答弁した。

  植田総裁は足元の物価高は輸入物価上昇の国内物価への波及と、物価高を背景とした賃金上昇の好循環の二つがあると説明。前者の「第1の力」によるインフレ率が下がるという見通しを出してきたが、「上方修正を続けてきた」とし、「見通しの誤りがあったということは認めざるを得ない」と述べた。その上で、今後は「見通しが適切に行われるように努めていきたい」とした。

他の発言

  • 為替はファンダメンタルズに沿って安定的推移が望ましい
  • YCC副作用抑制、為替のボラティリティー抑制も念頭に
  • 第2の力がまだ少し弱いことを考え、YCCを維持している
  • 物価高が長く続くとは考えていない
  • 第1の力によるインフレ、近いうちに水準が下がってくる
  • 現状は長期金利が1%以上大きく上がらぬようオペ続けている
  • 基調的物価上昇率、2%に少し距離あり大規模緩和続けている
Bank of Japan Governor Kazuo Ueda News Conference After Rate Decision
日銀の植田和男総裁Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  日銀は10月31日の金融政策決定会合で、長期金利の上限の1%超えを容認するイールドカーブコントロール(YCC)政策の柔軟化措置を決めた。経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、消費者物価の前年比上昇率を23年度から25年度まで上方修正。22年度から3年連続で2%を超える見通しを示した。

  植田総裁は6日の講演で、「2%の物価安定の目標に向けた見通し実現の確度が少しずつ高まってきている」と指摘。「現時点では物価安定の目標の持続的・ 安定的な実現を十分な確度をもって見通せる状況には、なお至っていない」とも述べ、YCCの枠組みの下で粘り強く金融緩和を継続する考えを示していた。

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