Elizabeth Piper

Rishi Sunak hosting a policing roundtable

[ロンドン 13日 ロイター] – スナク英首相は13日、内閣改造を実施し、警察批判で非難されていたブレイバーマン内相を更迭し、内相に横滑りしたクレバリー外相の後任にはキャメロン元首相を起用した。

ブレイバーマン氏は、イスラエル軍のガザ攻撃に抗議する親パレスチナ派のデモを巡る発言で与野党から辞任を求める声が上がっていた。

スナク首相は、内相辞任圧力を受けて内閣改造の前倒しを迫られた。野党労働党に支持率で後れを取っている保守党だが、キャメロン氏の復帰は、ブレイバーマン内相を支持する党内右派の懐柔よりも中道で経験ある人材を登用するスナク首相の方針を示した形。 もっと見る

ロンドンでは、先月のハマスのイスラエル急襲を受けたイスラエル軍のガザ攻撃に抗議するデモが頻繁に行われている。ブレイバーマン氏は、デモをユダヤ人社会を脅かす「ヘイト行進」や「暴徒」と呼び、厳しい姿勢を取った。

さらに先週、英紙タイムズへの寄稿で、ロンドン警視庁のデモの取り締まりが「二重規範」と指摘。親パレスチナ派のデモを妨害しようとする右翼の抗議者には逮捕など厳しい対応を取るが、親パレスチナ派のデモ参加者には手加減していると述べた。こうした姿勢が物議を呼び、ブレイバーマン内相への辞任論が強まった。

内相解任に意外感はないが、キャメロン元首相の起用は保守党内に衝撃を与えた。中道派は歓迎した一方で欧州連合(EU)離脱を支持する右派の一部は批判的。

ブレイバーマン氏の警察批判を支持する党内右派からはキャメロン氏復帰に批判の声が強まっている。ブレイバーマン氏は今後も批判を主張し続けるとみられている。またEU離脱支持者からはEU残留派が党の主流になったとみる向きもある。

キャメロン氏は、世界的な変革期に新たな職務に就けることをうれしく思うと述べた上で「元首相がこうした形で(閣僚に)就任するのは異例だと認識しているが、私は公共サービスを信じている」と語った。

「首相としての6年、保守党トップとしての11年が有益な経験や人脈、人間関係、知識につながっていることを願う」と述べ、スナク氏と意見が対立したこともあったが政権の方針に従うと説明した。

一方、ブレイバーマン氏は閣内から退いたことで、来年にも実施が予想される総選挙で保守党が敗北した場合に起こりえる党首選の準備に集中する可能性もある。

世論調査で労働党は常に20ポイント程度のリードを維持している。