▽サウジ外相、米国務長官と電話会談 ガザの停戦・人道支援巡り協議<ロイター日本語版>2023年11月23日午前 7:39 GMT+9
▽イスラエル、シファ病院の地下トンネル公開 エアコン付き部屋も<ロイター日本語版>2023年11月23日午前 7:28 GMT+93
▽ハマス・イスラエル停戦合意、延長なければ戦争拡大=イラン外相<ロイター日本語版>2023年11月23日午前 7:24 GMT+9
▽米大統領、イスラエル・エジプト・カタール首脳と会談 停戦合意巡り<ロイター日本語版>2023年11月23日午前 7:36 GMT+9
▽米、ガザ市民の強制移住に反対=特使<ロイター日本語版>2023年11月23日午前 3:18 GMT+9
▽アングル:ガザ人質解放合意、急襲直後に始まった米・カタール緊迫の交渉<ロイター日本語版>2023年11月22日午後 7:05 GMT+9
[ワシントン 22日 ロイター] – イスラム組織ハマスとイスラエルが22日、パレスチナ自治区ガザの戦闘を4日間停止することで合意した。ハマスは、イスラエルが捕らえているパレスチナ人の女性・子ども150人を釈放するのを条件に、拘束する50人の女性と子どもを解放することに同意した。
10月7日にハマスがイスラエル南部を急襲しイスラエル人や外国人をガザに連れ去ってから1カ月半になる。この期間は、米国とカタールが人質解放へ奔走した時間でもある。その緊迫の舞台裏を米当局者が明らかにした。
<10月7日:ハマス急襲直後>
「人質解放に向け、小規模な専門家チームを結成してほしい」。ハマスが民間人を連れ去ったと伝わった直後、カタール政府は人質に関する機密情報をもって米ホワイトハウスにこう要請した。
カタールは、イスラエルとの折衝へ「セル(cell)」と称するチーム結成をホワイトハウスに求めた。
サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は中東担当顧問のマガーク氏らにチーム編成を指示した。この作業は他の政府機関などに知らせず秘密裡に進められた。
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マガーク氏はカタールのシェイク・ムハンマド・ビン・アブドルラフマン・アール・サーニー首相と毎日電話会議し、サリバン氏に報告。バイデン大統領も毎日、報告を受けた。
<10月18日:バイデン氏がイスラエル訪問>
バイデン氏は10月13日、人質となったり行方不明となったりした米国人の家族と面会し、時間かけて話をした。
10月18日、バイデン氏はイスラエルを訪問。ネタニヤフ首相との会談の主目的は人質の解放、そして人道支援だったという。
<10月23日:米国の人質2人解放>
ハマスは米国籍の母・娘2人を解放した。人質2人の解放を受け、バイデン氏は、カタールが専門家チーム「セル」を活用して人質解放を実現すると確信したという。
本格的な人質解放に向けた取り組みが始まった。米中央情報局(CIA)のバーンズ長官はイスラエルの対外情報機関モサドのバルネア長官と定期的な話し合いを開始した。
<10月24日:イスラエルのガザ地上侵攻が秒読み>
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イスラエルが今にもガザ地上侵攻を開始しそうな10月24日、米政府に、ハマスが女性と子どもを解放するにあたっての条件に同意したという情報が入った。
米政府高官はイスラエル側と地上侵攻を延期すべきかどうか議論した。イスラエル側は、人質が生きているという証拠がないため侵攻延期に見合わないとはねつけた。ハマスは、戦闘が休止するまで拘束者を特定できないと主張した。
<バイデン氏の集中協議>
バイデン氏はその後3週間にわたり、具体的な協議を行った。その間、人質解放に向けた提案が交錯、ハマスに人質のリストとその身元情報、解放の保証を要求し、ワシントン、ドーハ、カイロ、ガザと連絡を取り合うという時間も手間もかかる作業が続いた。
やがて人質の段階的解放という構想が浮上し、バイデン氏はカタール首相と電話会談した。
構想は、第一段階としてハマスが女性と子どもの人質を解放し、それに応じる形でイスラエルが拘束しているパレスチナ人を解放するという内容だった。
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しかしイスラエルは第一段階で女性と子ども全員の解放を要求。米国も同調し、カタールを通じて、ハマスに拘束している女性・子どもの生存証明や身元確認情報を要求した。
ハマスは第一段階で50人の解放は保証したが、身元情報のリスト作成は拒否した。
<11月9日:合意案の検証>
11月9日、バーンズCIA長官は合意案に目を通すためドーハでカタール首脳やモサドのバルネア長官と会った。その時点での大きな障害は、ハマスが誰を拘束するのか明確にしていないことだった。
その3日後、バイデン氏はカタールのタミム首長に電話し、50人の人質の名前、年齢、性別、国籍などの明確な身元情報を要求した。その後まもなく、ハマスは第一段階で解放する50人の人質の詳細情報を明らかにした。
<11月14日:バイデン氏、ネタニヤフ氏に合意受け入れ促す>
11月14日、バイデン氏はネタニヤフ首相に電話で合意を受け入れるよう促し、ネタニヤフ氏は同意した。その日、イスラエルにいたマガーク氏はネタニヤフ氏に腕をつかまれ「われわれにほこの合意が必要だ」と言われた。
しかし、ガザで通信が遮断され、交渉が止まった。
<これが最後のチャンスだ>
通信が回復した時、バイデン氏はサンフランシスコでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席していた。バイデン氏は、カタール首長に電話をし、これが最後のチャンスだと言った。カタール首長は合意達成に向け圧力を掛けると約束した。
<11月18日:最後の詰め>
マガーク氏はドーハでカタール首相に面会した。バーンズCIA長官もモサドと協議後にオンラインで参加した。会合で合意案の残っている対立点を特定した。
こうして合意案は、第一段階で女性と子どもを解放するとしたうえで、全員の解放をにらみ、さらなる解放の見通しも盛り込む形で出来上がった。
翌朝、マガーク氏はカイロでエジプト情報当局のカミル長官と面会。ガザからはハマス幹部が前日ドーハで策定された合意事項のほぼ全てを受け入れたとの報が入った。
その後、さらに交渉が重ねられ、22日の合意に至った。