▽米利下げの市場の織り込み「過度」、24年はボラ上昇へ=BII<ロイター日本語版>2023年12月6日午前 4:37 GMT+9

David Randall

米利下げの市場の織り込み「過度」、24年はボラ上昇へ=BII

[ニューヨーク 5日 ロイター] – 世界最大の資産運用会社ブラックロック傘下のブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)のストラテジストは5日のパネルディスカッションで、先物市場が米連邦準備理事会(FRB)の利下げを「過度に」織り込んでいるため、2024年の世界市場はより大きなボラティリティーに見舞われるだろうとの見方を示した。

グローバルチーフインベストメントストラテジスト、ウェイ・リー氏は「利下げに対する市場の織り込みはやや過度だ。金利のボラティリティーは今後も続く」と述べた。

CMEのフェドウオッチによれば、米政策金利が来年12月までに125ベーシスポイント(bp)以上低下する確率は現在50%以上となっている。

ブラックロック・ファンダメンタル・エクイティーズのグローバル・チーフ・インベストメント・オフィサー、トニー・デスピリト氏は、金利に関する前提が変わることで24年には様々なセクターが急速に人気を集めたり失ったりする可能性が高いと指摘。人工知能(AI)分野で重要な役割を果たすメモリストレージ企業に特に強気とした。

米短期債に対してはなお強気だが、構造的なインフレ高進を想定しているため、長期債利回りが現在の水準から大幅に低下することは難しいとし、キャピタルゲインよりもインカムゲインの方が大きくなる見込みとした。リー氏は「来年の投資にとってインカムが有意義な形で戻ってくる」と述べた。

また、ユーロ圏と英国の国債および米インフレ連動債に対する見方を「オーバーウエート」から「ニュートラル」に引き下げた。投資家は今後「成長鈍化、インフレ高進、金利上昇、そしてボラティリティーの増大」に直面するとした。

新興国市場ではインドとメキシコに強気とし、先進国市場よりも新興国市場の資産を広く選好しているとした。先進国市場では日本株を選好した。

シニア投資ストラテジストのクリスティ・アクリアン氏は、市場はFRBの利下げに過度の期待を寄せているかもしれないが、FRBはすでに金利のピークに達している可能性が高く、債券の魅力は全体的に高まっていると言及。「最大のリスクはキャッシュを持ち過ぎることだ」とした。